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ここは、「Luftleitbahnen」の別館です。
Fan Fiction Novel-二次創作小説-を置いてあります。
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ダー様誕生日話です。
相変わらず、ダー様視点は難しい・・・
ちなみに、アララ王国には月が無いようですが、突っ込み禁止
まぁ、一応マジマジワールドとかカリカリワールドにはあるけど
ってカリカリの方は洒落にならんか・・・・汗
結局プレゼントそのものの中身は出てきてないですが、アクセサリーです。
ただ描写書くとNoelとダブるので省きました。
こんな拙いものでも一応お祝いということで。お目汚し失礼しました。

∞―――――――――∞ Artemis  ∞―――――――――∞



淡く、まるで世界に溶ける輝き


そのまま包まれそうな優しさ


いつか、その手が届くと思った


いつか、辿りつけると思った


それはまるで・・・・・




Artemisの光





-----------


「痛」


ダ・サイダーが思わず手を伸ばすと、聞こえてきたのは小さな非難の声だった。


「起きて早々あんた喧嘩売ってるわけ?」

まだ半分朦朧とする意識に、ベットサイドに腰をかけたレスカの怒気を含んだような声が降ってくる。

ダ・サイダーは地鳴りが続くような頭痛を感じながらも、ゆっくりと身体を起こした。

(・・・・うぅぅ、頭痛ぇ・・・って俺様は一体・・・??)


普段ならば瞬く間に覚醒するはずの意識も、今は泥濘の中を歩くような鈍重さでしか思考が働かない。
そんな自分の様子にか、レスカが軽い溜め息をつくのが聞こえてきた。

「馬鹿ねぇ、大体飲みすぎなのよ。アンタ・・・・・・・ほら、お水」

レスカがサイドテーブルからグラスを取ってこちらに差し出してくる。

「ん、サンキュウ」


揺らぐ視界に辟易しながら冷たい液体を飲み下すと、幾分気分が落ち着いていく気がする。
そうしてようやくダ・サイダーは今の自分の状況が少しずつ飲み込め始めた。



レスカは、頭を振りながら、生きの悪そうなダ・サイダーの姿を呆れたような表情で見つめていた。
ただ、その紅い瞳には表情とは裏腹な穏やかな色が浮かんでいた。

(しょうのない男ね・・・・ホント)



今日は朝から無礼講の大騒ぎだった。


アララ王国でも新年を祝う宴は行われる。

しかし、大騒ぎの理由はそれだけではなかった。

今日は救国の勇者の誕生日でもあるのだから。


宴はそれこそ大賑わいとなった。

マジマジワールドからはミルクとラムネスも訪れ、人々の祝賀ムードはまさに場の勢いとノリによって留まる所を知らない。

そしてもちろん、そのノリを作り最先端を走っていたのはこの男だった。

目立ちたがりやで、お祭り好き。
自分への自信は海よりも深く、山よりも高い。
そんな男が自分が主役の宴で騒ぐなという方が無理というものである。


レスカも当然ある程度の波乱は予想していた。

とはいえ、あくまで「ある程度」はである。


しかし、この男に予想という言葉ほど似つかわしくないものも無かった。

予想は現実の前にはあまりに卑小で無力なものと化していった。


ところがである。

まさに宴たけなわというその時、宴は唐突な終焉を迎えることとなった。

その主役の退場によって・・・・



レスカは思い出しながら、それが頭痛を伴う事を再確認した。

(ほんと・・・・・馬鹿なんだから)

それはまさに宴の最高潮の時だった。

レスカが我慢の限界を感じ、ハンマーを投げようとしたまさにその一瞬前。


一升瓶を一気飲みしたダ・サイダーは

そのままゆっくりと後ろに倒れたのだった。




(・・・・俺様としたことが情けねぇ・・・・)

事の顛末を思い出したダ・サイダーは、気分の悪さと相俟って深い溜め息を漏らした。
そんなダ・サイダーを心配したのか、その視界に金と紅の輝きが映りこんだ。

「あんたホント大丈夫?薬持ってくる?」

心配そうな紅い瞳が自分を覗き込んでいる。
金色の柔らかな輝きが揺れている。


不思議と落ち着くその輝きに、ダ・サイダーは安心させるように微笑んだ。

「俺様がこれしきの事で大丈夫じゃないわけあるまい!」

自信満々の台詞を言いながら、空のグラスを差し出すとレスカは一瞬半眼でこちらを見てから苦笑をもらした。

「・・・ぶっ倒れといて何言ってんだか・・・・ほら。」

再び冷たい液体の注がれたグラスを一気に呷ると、ダ・サイダーはそれを放り投げてベットに勢いよく倒れこんだ。
まだ気分が良くなるにはほど遠い所だったが、これ以上レスカに心配そうな顔をさせたくは無い。
寝転んで楽な姿勢を取りながら、ダ・サイダーは漠然とそう思いながらいつもの調子で話し掛けた。

「そういや、お前いつからここにいたんだ?ラムネスどもはどうしたんだよ」

「ご挨拶じゃない。心配してついててやったってのに。それにラムネス達ならとっくに帰ったわよ。アンタ今何時だと思ってるわけ?」
「ったく、もう夜中よ!ヨ・ナ・カ!分かってんの?」


あからさまに辺りを見回してからレスカが睨んでくる。
これには流石のダ・サイダーも言葉が出なかった。
レスカの言いたいことは痛いほど分かっていた。

そう、分かっていた。
今日が何の日で、何のために彼女がここにいるのか・・・・


「・・・・・・・わりぃ」


思いつく限りの詫びの言葉はどれも違う気がして、ようやく口から出たのはたったそれだけだった。
きまりの悪い沈黙を覚悟したダ・サイダーだったが、返って来たのは意外な言葉だった。

「仕方ないわねぇ。ま、今日は無礼講だから、許してあげるわ。・・・っと。言っとくけど、今日だけだからね!」

軽く片目を瞑って笑みを浮かべたレスカに、今度はダ・サイダーの方が思わずその顔を覗き込んでいた。

「な、何よ、そんな目でみないでよね。ふん。今日だけって言ったでしょ!」

ちょっと不貞腐れたような、照れたような顔でそっぽを向くレスカに、ダ・サイダーは愛しさが込み上げるのを、鼓動が速まるのを感じた。
自分にしか見せない彼女の顔は、どれも自分を平静では居させなくする効果がある。
ダ・サイダーは苦笑を浮かべながらそう自覚せずには居られなかった。

そんなダ・サイダーの思考を知ってか知らずか、レスカはあらぬ方を見つめながらその口から笑いを漏らした。

「ふふ、・・・でも、なんか不思議ね」

「ん?」

「だってさ、ドン・ハルマゲの所に居たときはさ、誕生日なんて貢がせるのに格好のネタにしかならないと思ってたのに」

「(貢がせるって・・・・お前らしいといえばらしいけどよ)別にいいけどよ、それがどうしたんだよ?」

レスカの台詞に興味と半眼を返しがら、ダ・サイダーはその先を促す。
言外の非難(?)は気にもとめず、レスカはほんのりと上気した照れくさそうな顔をサイドテーブルに向けた。
その視線の先、水差しの横には小さな箱が大人しく座っている。

「生まれてきた事に意味なんて無いって思ってた。生きてることに実感だってなかった。」

「・・・・・レスカ」

「漠然とただ生きてただけ、あの頃はさ命令に従うだけだったんだもの、当然よね・・・・・・・・・・・・・でも、なんだろう、今は、そうね今は違う。」

「生まれてきた事に、今ここに居ることに感謝したい気分だわ・・・・・・・って、あたし何言ってんのかしらね。今日はあたしの誕生日じゃなくてあんたの・・キャ!」

唐突に腕を引っ張られて、バランスを崩したレスカは、ダ・サイダーの上に倒れこむ形になる。

「ちょ、何す・・・・ダ・サイダー?」

一瞬の事に何がおこったか分からないレスカの身体を、ダ・サイダーは抱きしめた。


自覚していない事が

これっぽっちも意識していない事が

一種罪だとさえ思う


その言葉にどれほどの重みがあるか。

その言葉がどんなプレゼントよりも嬉しいものか。


きっと彼女は知らない。


自分の生まれた日に、一番大事な存在が、最も大切な人が
その生きている意味を感謝している事

生まれた事を感謝している事

それは自分の誕生を祝ってくれるよりも、もっと嬉しい事だったから



(ほんと、お前ほどいい女はいねぇよ・・・なぁ?レスカ)



大人しく腕の中で目を閉じているその耳に囁きかける。



「今日は、何しても無礼講なんだろ?」

「もぅ、調子いいんだから・・・・・・・・・・
             Happy Birthday ダ・サイダー」








-----------



夢の中で伸ばした手


あの時この手が掴んだもの


それは、世界に溶ける光

それは、包み込む優しさ


そう、それは紛れも無い






Artemis自身


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