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ここは、「Luftleitbahnen」の別館です。
Fan Fiction Novel-二次創作小説-を置いてあります。
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捏造IFシリーズの第一段の2話目です。
時間かかった割りに短いネタですみません。
区切りのよさそうなところで切るとこうなりました。
3話目もGW中にはUPしたいです。
相変わらず、まだハム子は出ませんが(汗)

胡蝶 弐
くどいようですが、バリバリの捏造与太話です。
パラレル、暗い、どんと来いの方のみお読みください。

※ハム子はまだ当分出てこない・・・


∞――――――――∞ 胡蝶 弐   ∞――――――――∞




「誰だ?」


低く、それでいて響く声には聞き覚えがあった。
あったなんてものではない、それこそ何度も聞いた声だ。

荒垣真次郎

何度世界を繰り返しても、流也には救う事が出来なかった仲間である。
その身の内に、深い絶望を抱え込み、いつも独り、闇を見続けていた年上の"少年"。

あまりに予想もしていなかった展開に、つい目を見開いていた流也の姿を、彼の鋭い眼光が射抜く。
路地裏で培われたオーラは健在らしく、流也でなければ"恐怖"状態にでも陥ってしまった事だろう。
そんな気配を漂わせたまま、荒垣の手が静かに腰に伸びるのを流也は視界の端に捕らえる。

「この時間に・・・テメェ何者だ?」

声音はあくまで静かだが、警戒の色をより強くした荒垣の言葉が、ロビーに低く響きわたる。
一瞬ホワイトアウトしかけた思考を引き戻し、どう言ったものかと改めて考えていると・・・彼が動いた。

「答えねぇのか?それとも
・・・・答えられねぇか?」

一歩踏み込んだ荒垣の手には、鈍く光る召喚器。
今自己紹介でもした所で、聞く気などあるのだろうか?ぼんやりとそう考えた流也の前で、音もなく持ち上げられる荒垣の手。
こめかみにソレが当てられるのを見やりながら、さて困ったなと思った時、怜悧な声とまぶしい光が世界を反転させていた。


「待て!」
「!!」


人工的な照明がロビーを照らしだす中、一段と鮮やかな赤い髪が目に飛び込んできた。
影時間の終わった"現実"の中、そこには凛と構えた桐条美鶴が立っていた。
それはまさしく"女帝"の姿。
いつも思うが、この時の彼女は見事なほどにモデル立ちだ。
そんな美鶴を一瞬だけ視線で確認した荒垣は、ちっと舌打ちをしつつそれでも彼女の前に立って流也を睨みつけている。
一応、手にしていた召喚器は、既にホルスターへと収まったようだ。

「到着が遅れたようだね。
私は桐条美鶴。この寮に住んでいる者だ」

荒垣の肩に手を置き、大丈夫だと小さく囁くと、美鶴は流也へと向き直った。
いつもの台詞を口にしたその顔には、毅然とした笑みが浮かんでいる。

「知り合いか?」
「彼は"転入生"だ。
ここへの入寮が急に決まってね・・・」

警戒の色を浮かべたまま、じっと流也を睨みつけていた荒垣に、美鶴が説明するように手早く答える。
それが功を奏したのか、ようやく荒垣の目から剣呑な色が和らいでいく。
はぁと溜息をつきながら、トレードマークと言っていいだろうニット帽に、その手をかけた。

「いずれ、男子寮への割り当てが正式にされるだろう。
それまではここに仮住まいだ」
「いいのか?」
「さぁな。・・・それに理事長のお達しだ」

当の本人を置いてきぼりにして、二人の会話が進んでいく。
いつもはゆかりが言うだろう台詞を、荒垣が言っているのがなんだか妙に面白くて、流也の口元が我知らずあがってゆく。

「そういうことは先に言っとけよ」
「いや、アキヒコにも一緒に伝えようと思っていたんだが、あいにく捕まらなくてな。
悪かった」
「あの馬鹿は・・・また夜中にロードワークか。ったく」

ぷっ

呆れたようにガリガリとニット帽を掻く荒垣と、全く悪いと思っていない様に見える美鶴。
その二人の会話が漫才にしか聞こえなくて、ついつい流也は吹きだした。
知らない者から見れば、決して吹きだすような内容ではなかっただろう。
だが、この今までに無い始まりと、そしてそれに和んでしまう自分自身に、ついつい込み上げるモノを我慢する事が出来なかった。

「・・・・」
「・・・・まぁ。今日はもう遅い。部屋は2階の一番奥に用意してある。
荷物も届いているはずだ、すぐに休むといい。」

警戒と言う意味ではなく、吹きだした流也に訝しんだ視線を向けた美鶴と荒垣だったが・・・それも一瞬の事。
いつものごとくに、ロビーから追い払われる運びとなった。
まぁこの時期の彼らにとって、自分はまさに海のものとも山のものともつかない存在なのだから仕方ない。
それに、ここに長く居た所で、何が見られるわけでも無い。まぁ、一度位はこの日に真田を見て見たいかもしれない、とは思ったりもしたのだが・・・それ以上のインパクトを今体験してしまったばかりである。

「荒垣、悪いが彼を案内してやってくれ」
「わぁったよ
・・・・こっちだ」

くいっと顎で先を促すと、荒垣はズンズンと先に歩いていく。
相変わらず、猫背の背中が妙に懐かしい。いろんな物を背負いすぎて、それで丸くなってしまったのだろうか、ついついそんな事を考えてしまう。
もう春だと言うのに、決して脱がないコートの中に、一体どれだけのモノを隠し持っているのやら。
きっと、透流ならその答えを知っている。だからこそ、彼を救えたのだろう。

自分には、多分出来ない。

それは仲間を信じているとかいないとかでは無い。
彼自身が歩み寄ってくれなければ・・・・無理なのだ。
自分は真田にはなれない。
彼が心を許すものになるには、いつも余りに時間が無さ過ぎる。

だからこそ、透流がいるのだ。

自分にしか出来ない事があり、透流にしか出来ない事がある。
それが故のツインソウル。

いつか、お互いが繰り返してきた事が、一番いい形で融合した世界が来るのなら、きっとソコに答えがあるのかもしれない。


「ここだ」

その大きいような小さいような背中を見つめているうちに、どうやらすでに部屋の前に着いていたようだ。
荒垣に促され、ノブに手を伸ばせば、彼の少し戸惑った声が背中にかかった。

「さっきは・・・悪かったな。急に喧嘩腰みてぇにしちまって。
夜中だったからな。ここらも物騒なんだ、悪く思わないでくれ」

再び流也が目を見開く。
さりげなく美鶴を庇っていた姿といい、この気遣いといい、オカンな所も健在か。
ついそう思って、再び吹きだしそうになるのをなんとか堪える。しかし、目を伏せて肩が震えている姿は、荒垣にはきっと丸分かりだった事だろう。

「お前・・・変なヤツだな・・・・。まぁ、そんなら大丈夫そうか。
一応言っとくが、夜中の外出は当分禁止だ。桐条にも言われんだろうがな」
「わかりました。
あ、一つだけ聞いてもいいですか?」
「ん?なんだ?」
「先輩は、学校に行ってるんですか?」

「!」


薄らいでいた警戒の色が、再び荒垣の目の奥に灯る。
地雷を踏んだか?口にしてから思ったが、それはもう後の祭りかもしれない。

「ここは寮だ。
なんでんな事訊く?」
「いや・・・私服だったから」

酷く苦しい言い訳だな、自分でもそう流也は思った。それで納得してくれるほど、目の前の漢は易しくは無いだろう。
案の定、細められた目は、流也を値踏みしているのは明らかだった。

「この時間だ、制服の方がおかしくねぇか?
まぁ、桐条は確かに制服だったな。
・・・・・俺は・・・行ってねぇ。他には?」
「いえ、ありがとうございます。
おやすみなさい」
「ああ」

伸ばしたその手に力を込め、ドアを開けて閉じるまで、背後の視線はずっと流也を捉えていた。


参ったな、選択肢間違った・・・かな?


困ったような困っていないような顔をして、流也はパジャマに着替えると、早速ベットに潜りこむ。
どちらにしろ、もうやり直しは効かないのだ。
ならば、後悔しても無駄。
これからの事だけを考えればいい。


それにしても、何か思った以上に変わった始まりだ。一体この先、どんな展開が待っているのかいないのか。

そう思ったのも束の間で、十数年ぶりの影時間は、やはり相応に身体にきたらしい。
流也の意識は、闇に墨を垂らすが如く、一瞬で眠りの淵へと落ちていった。


∞――――――――――――――――――――――――∞
ようやく弐です。覚醒まで書きたかったんですが、一旦ここで切ります。
参でペルソナ覚醒予定。
のんびりペースですが、じっくり書いていきたいです。
先輩!!
かっけー!やっぱり先輩好きだわ~
acqua 2010/04/30(Fri)12:24:45 編集
Re:先輩!!
わ~~い、かっこいいって言って貰えた!!
きゃっきゃウフフですわ~~(〃 ̄ー ̄〃)
【2010/05/01 10:28】
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