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ここは、「Luftleitbahnen」の別館です。
Fan Fiction Novel-二次創作小説-を置いてあります。
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別人はこの際開き直るとして(開き直るんかい!!)
やっぱり私にハーレクインは無理だ(号泣)。
あぁ、今までで一番痛いぞ。(だったら書くなと小一時間、汗)
いえ、もういいです。(この下ネタバレなので隠してます)
ただレスカにダーの髪を指に絡めてキスして欲しかっただけですから(爆)。
ちなみに、この話で使ってる「確信犯」の意味は本来とは違ってます。
よく間違って使われる方の意味をあえて使わせていただいてるのでご注意を。
それにしても・・・・・私の書く話ってTV版見てないと分からない話ばっかだなぁ
それもかなり痛い気がする今日この頃。それでは夜逃げでもしますかね。

∞―――――――――∞ Azurite  ∞―――――――――∞
 



世界は蒼と翠の2色刷り版画




そんな陳腐な台詞が浮かんでしまうほど、そこはその2種類の色で埋め尽くされていた。

見上げれば、紺碧に彩られた天蓋。
見下ろせば、浅葱から萌黄へと移り行く翠のグラデーションが彼方まで地平を描いている。
遠く、近くに林立する天を支える柱さえもが、今はその薄く煙る霧のためにまるで蒼白い大理石の回廊のようだ。

「はぁぁ、随分と見違えたもんねぇ」

レスカは心底感心したような声を漏らした。

実際、その風景には感心させられていた。
以前訪れた時に見た最後の光景を思えばそれも当然といえたからだった。



ここはハナハナワールド。
ドキドキスペースに点在する浮遊大陸の中でも4連星と呼ばれる星の一つである。

今回外交使節としてこの近くの界域を訪れる事になったレスカは、ついでだからというココアの頼みを受けて帰りがけにこの星に立ち寄っていた。

そしてあまりの景色の様変わりに唖然としているレスカ達が以前ここを訪れた時。
それは忘れもしない七色の石版を探していたあの時だった。


(そうそう、最後の石版はここにあったのよねぇ・・・・しっかし)


当時の事を思い出したレスカは、どうしても笑いが込み上げてくるのを止められなかった。

「あんだよ。気色わりぃなぁ。いきなり何吹き出してんだよ。」

隣で同じように呆けたように風景を眺めていたダ・サイダーは、突然笑い出したレスカに気味悪そうな視線を向けた。

「だ、だってアンタ・・・・あの時の事思い出したら・・・・あっははははは」

今はこうして普通に眺めていられる風景も、もう少し時期が遅くなれば考えられないものになる。
何故ならハナハナワールドの草花は、その美しい姿とは裏腹に種子が爆発するという特性があるのだ。
石版を探していたあの時、それはまさにその最も危険な花々が種子を飛ばし始めた時期にぶつかっていた。

「・・・・あ!思い出した。あの時最後の駄目押ししたのってレスカ!お前じゃねぇか!!」
「さ、さ~て何のことかしら?あたしにはさっぱりわかんないわねぇ」

髪飾りに付けていたバランバランで吹っ飛んだダ・サイダーの姿を思い出し、レスカは冷汗を流しながらもやっぱり口元は緩んでしまった。


景気良く吹っ飛びまくるダ・サイダーの姿。
フランケンシュタインよろしくの包帯だらけの姿。
そして止めとばかりにキレてクイーンサイダロンを駆る姿。
そんな光景が脳裏を回天木馬のように回っている。


当時は確か呆然と見ていた気がしたが、喉もと過ぎればなんとやらという言葉の通り、今はその全てが可笑しくてしょうがなかった。


「ふん、まぁいい。どっちにしろあの時は俺様のグレートでビューティフルな作戦が無ければ石版は手に入らなかったんだからな。まさに俺様の勇者としての真価がこの星には刻み込まれているのだ!!なっはっはっは」

しらばっくれながらも目に涙を溜めて笑っているレスカの姿に、ダ・サイダーはどこかまんざらでもない表情をすると出所不明な自信で胸を張った。

そんなダ・サイダーの姿に「はいはい」と気の無い合いの手を入れつつ、レスカは笑いを堪えながらもう一度辺りを見回した。

「それにしても、本当に見違えたわねぇ」

どの辺がグレートでビューティフルだったのかは甚だ理解しがたい(というか理解できたら問題だろうというのが本音だが)「作戦」ではあったが、確かにそのおかげで石版が見つかったのは事実だった。

(だからって・・・・普通あそこまでやるかしら?・・・やっぱただキレただけよねぇ。ほんとコイツらしいわ)

そう、石版を探すという名目でダ・サイダーが行った「作戦」、それは「爆発したけりゃしたいだけさせればいい!」というとんでもない代物だったのだ。
戦車に変形したゼンザインの火砲で、ハナハナワールドはまさに爆発の嵐。
最後には草木一本残らない焼け野原となってしまったのだった。

そんなことを思い出しながら、レスカは再び笑みがこぼれる。
意外な顛末が、予想のつかない感動や未来を作るものである。
そして、どんな形であれ思い出がこんなにも楽しいものだという事実が嬉しかった。



一方改めて呟いたレスカの言葉に、ダ・サイダーもつられて辺りを見回していた。

確かにレスカの言うとおりではあった。
見事なまでに焦土と化していたはずの大地が、今はまるで水彩画にでもありそうな一面の草千里を描いている。

全く持って生き物というものの持つ計り知れない底力を感じずにはいられない風景である。

「ま、アレだな」

ダ・サイダーは思い切り得意気な顔でレスカを振り向いた。

「何よ」

なんだか嫌な予感(というかすでにほぼ確信なのだが)がして、レスカはうんざりとダ・サイダーを見上げた。

「花だけにハナレワザだ!!なっはっはっは。どうだ!面白いだろう!!」
「・・・・・アホ」

あまりに予想通りのことにレスカはそう呟かずにはいられなかった。

「なんだとぉ。俺様のシャレがつまらねぇっていうのか!?笑え~~~!!」

そう言えば久しぶりに見るなぁと一瞬ぼんやりとマシンガンを眺めたレスカだったが、銃口を構えるダ・サイダーにはっとして叫んでいた。

「あ!!足元にバランバラン!」
「ぬぁに!!」

レスカの一言に思わず飛び上がったダ・サイダーはもはやマシンガンを撃つどころの騒ぎではなかった。
妙に慎重になって辺りの地面を凝視しながら「どこだ」「どこだ」と連呼している。


その反応のあまりのすばやさに、レスカは思いっきり吹き出していた。
どうやらあの時の事がトラウマのようにダ・サイダーに根付いているらしい。

(すっごい反応・・・・なんか、パブロフの犬みたいね。)


「お前だましやがったな!!」

目の前で大爆笑しているレスカにダ・サイダーが怒ったように手を伸ばすと、レスカはするりと身体を滑らせ舌を出した。

「ひっかかるアンタが悪いんじゃない」
「なんだと~、待ちやがれ」

走って逃げ出したレスカをダ・サイダーは青筋を立てて追いかけた。
普段から親衛隊長として鍛えているだけあって、本来レスカに追いつけないなどということはないのだが・・・・
いかんせん捕まえようとする度に「ジライモ」だの「ホウセンバナ」だのと言ってくるレスカの台詞に、ダ・サイダーの身体はついつい反応してしまうのだ。

(くっそ~、なんだって台詞一つでこの俺様が踊らされにゃならんのだ!)

半ば意地になって追ってくるダ・サイダーの姿に、レスカは始終笑いが止まらなかった。

(ほんと、単純で飽きない男。ま、そこがいいんだけどさ)


そうしてその不思議な駆け引き(?)はもうしばらく続くのだった。



-----------



「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・ふぅぅ」

お互い息を切らせると、いつのまにか草地の上に寝転がっていた。
見上げた天井から降り注ぐ陽光は、心なしか朱の色彩が混ざり始めているようだ。

「うそ、もうこんな時間?早くココアに頼まれたもの取って戻らないと。明日中にアララ国に着かなきゃなんないのよ。」
「てめぇが下らねぇことするからじゃねぇか!・・・ったく、もうちっと休ませろって」

起き上がって何やら集め始めたレスカを尻目に、ダ・サイダーは深く息を吸いこんだ。
新鮮な空気が火照った肺に心地良く、耳を掠める風は油断すると眠気まで運んでくる。

始終走っては跳び上がるを繰り返し続けた自分にダ・サイダーはある意味通常の訓練よりも激務だったのではないかと自問自答する。

(ほんと、下らねぇことしやがって・・・・・。でもま、悪くねぇ・・かな)

ノリはほとんど意地だったのだが、その間中のレスカの顔を思い出すと急に疲れが引いていくのが自分でもわかる。
ここ数日公務で見せていた「カフェオレ」のそれとは全く違う「レスカ」の顔。
ダ・サイダーは妙にそれが嬉しかったし、そんなレスカが・・・・。
ふと自分の思考の方向性に気が付いたダ・サイダーは、慌てて目を閉じるともう一度ゆっくりと深呼吸をして別の意味で上がりそうになっていく体温を落ち着かせた。



「これだけあればいいわよね?」

そんなダ・サイダーの思惑を知っているのかいないのか、いつのまにか抱え込む程花の蕾を手にしたレスカが寝転んでいるダ・サイダーを覗き込んでいた。

「おわっ!!」

目を開けると同時、視界一杯に拡がったレスカの顔にダ・サイダーは慌てて飛び上がった。
折角下がったはずの体温が再び急上昇する。

「び、びっくりさせんじゃねぇよ!・・・・・って、おい!危ねぇだろが!!」

どこか不自然なほど飛び上がったかと思えば手元を凝視して、再び飛び上がらんばかりのダ・サイダーにレスカは一瞬疑問顔をすると次の瞬間再び吹き出した。

「ぷ、あっはははは。なぁに、あんたこの蕾が怖いわけ?ほんと馬鹿の一つ覚えみたいに単純なんだから・・・・・ちゃんと来る時言っといたでしょ。蕾は爆発なんてしないわよ。」


さも可笑しそうに言うレスカに、慌てた原因をごまかせた事にホッとしつつ、馬鹿にされまくっている事にカチンときつつ、ダ・サイダーは早口に叫んでいた。

「む?そ、そんな話し聞いたような、聞かなかったような・・・・ぬぁぁぁぁ。もうどうだっていい!用事が終わったんならさっさと帰るぞ。ヘビメタコだってヘビだけに首を長~~くして待ってるだろうしな。・・・ふむ、これはなかなか・・・流石は俺様だ。なっはっはっは」
「ふん、あのクサレ爬虫類が伸びようが縮もうが知ったこっちゃないわよ。・・・でもまぁ、あたしも明日は仕事だし、これ以上のんびりはしてらんないのは確かね」

言いながらようやく船の留守番に置いてきたヘビメタコ(今回は公務だったために、仕置きロボはつれてこれなかったのだ)の事を思い出したように、ダ・サイダーは船の泊めてあるだろう遠くを見ると自分のシャレに笑い出した。
そんなダ・サイダーに一瞬ムッとする表情をしたレスカだったが、すぐにあることを思い出すと気を取り直してダ・サイダーの方へ手を伸ばした。


「痛っ」

突然引っ張られた髪の毛にダ・サイダーが我に返って振り向くと、悪戯っぽい目をしたレスカが上目遣いに見上げている。
その右手の指には蒼い髪がしっかりと絡みついていた。

「いきなり何しやがる、痛ぇじゃねぇか。」

「ねぇ・・・・・アンタさ、さっき何考えてたのよ?」

どこか小悪魔っぽい表情をしたレスカの紅い瞳が真っ直ぐにダ・サイダーを見つめている。

「な゛・・・・・・・・・・」


思わぬ不意打ちに、一瞬停止する思考回路。
次の瞬間には脳裏をめまぐるしい程の単語や文句が掠めてはいくのだが、結局どれも口から出る事は無かった。
何故なら追い討ちをかけるように紅と金の輝きがその視界を覆ってしまったからだ。
いつのまにか、レスカの左手の指までが蒼く彩られている。

(全く・・・・かなわねぇよなぁ)

それから数秒、ダ・サイダーはどこか恨めしそうな目で一瞬レスカをねめつけると、観念したとばかりに大きく溜め息をついて呟いた。

「はぁ。・・・お前なぁ・・・・・それ、確信犯だろ」
「さぁ?」


完全に朱を帯びた陽光の所為か、それとも別の理由なのか、紅く染まった顔と絡み合う視線の中、二人の影は引かれた蒼髪の余力に促されるようにゆっくりと重なり合っていった。





目を閉じる瞬間、ふと頭に浮かんだ陳腐な台詞。


世界は蒼と翠の2色刷り版画

そう、そこにあるのはAzuriteの髪とDioptaseの瞳。




・・・今はただ、その2色だけの世界・・・
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