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ここは、「Luftleitbahnen」の別館です。
Fan Fiction Novel-二次創作小説-を置いてあります。
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・・・・・・・・これ、誰?(汗)
本当にこれドキドキスペース編って言っていいのかなぁ。ま、いいかぁ(早)
一応「Fly」と対になってるお話で、頑張ってダー視点・・・撃沈。
激しく別人度高しですねぇ、えぇ、本当に。困ったもんだ。
ちなみに、私の中でこの頃のダーレスは既に普通に酒飲んでます。
だって、ドン・ハルマゲ軍団にいたんだし、CDでも普通に居酒屋にいるし、
大体今時(というか当時でも)中学入ったら飲むだろう!って事で・・・
ってこれ我が家の常識でしたが、普通はどうなんだろう?

∞―――――――――∞ Memoria  ∞―――――――――∞


唄を忘れたカナリアは後の山に棄てましょか
いえ、いえ、それはなりません

唄を忘れたカナリアは背戸の小藪に埋めましょか
いえ、いえ、それもなりません

唄を忘れたカナリアは柳の鞭でぶちましょか
いえ、いえ、それはかわいそう

唄を忘れたカナリアは象牙の船に銀の櫂
月夜の海に浮かべれば
忘れた唄を思い出す









・・・・唄が聞こえた・・・・



・・・・いつか、どこかで聞いた唄が・・・・





少女がいる。

暗闇の中でたった一人。
本を片手に座り込んで、少女が唄を口ずさんでいる。


その儚げな旋律が気になって、
いつのまにか少女のすぐ側で聴いていた。


ふと、少女が唄うのを止めた。

柔らかな輝きを放つ金糸の髪を揺らして振り向くと、
その大きなルビーの瞳が自分を見上げた。
どこか表情に乏しい顔に、微かに疑問の色が浮かんでいる。



少女はゆっくりと口を開いた。



「アタチ達も捨てられちゃうの?」




-----------


!!



ベットのスプリングが壊れるのではないかという勢いで、ダ・サイダーは身体を起こした。
一瞬で覚醒した意識が、心拍数の高さと体温の急上昇を知らせている。

(ちっ・・・・変な夢見ちまったぜ)

ダ・サイダーは軽く頭を振ると、部屋の中を見回した。
薄暗い室内は、ヘビメタコの規則的な寝息(?)以外物音一つせず、別段変わった様子はない。

冷静に現実の状況を分析することで、鼓動も体温も通常に戻っていくのが分かる。
これでもドン・ハルマゲの元で戦闘隊長をしていたのだ。
何処でも何時でも眠れる事と、
目覚めと判断の速さは誰にも負けない自負がある。


「・・・・なんか飲むか」

夢見の所為か、どうにもこのまま横になる気になれず、
ダ・サイダーはベットを降りるとヘビメタコを起こさないようにそっと部屋を出た。





ガチャ


暗い厨房内に、開いた冷蔵庫の明かりが亀裂を作る。
その亀裂に手を差し入れてダ・サイダーはビールの瓶を一本取り出した。


「くぅぅぅ。やっぱコレだよなぁ」

栓を開けて一気に呷ると、ビールの冷たさと刺激が身体を一気に駆け抜ける。
そのなんともいえない快感に酔いしれていると、それまでのこと等何処吹く風である。
ダ・サイダーは満足気に瓶の残りを飲み干すと、2本目の瓶に手をかけた。




「ん?」

その時微かに鼓膜が震えるのを感じた。


「なんだぁ?・・・・・・唄?」


ダ・サイダーの動物的な聴覚で無かったら、
聞き逃してしまうだろう微かな唄声が、艦橋の方から空気を緩やかに揺らしている。

どこかできいた気がする。
そう思った瞬間ダ・サイダーの脳裏を何かが掠める。



金糸の髪
ルビーの瞳
そして抑揚の無い声


「アタチ達も捨てられちゃうの?」



(・・・・・ったくアイツの所為かよ・・・・あんな夢見ちまったのは・・)


ダ・サイダーは思い出していた。
微かな旋律がもたらしたものを。




それは過去の記憶。
ホイホイ城の決戦の折、
ドン・ハルマゲの呪いと共に解放された記憶の扉からこぼれるMemoria。


いつだったかなんてのは覚えていない。
記憶なんてのは元々そんな曖昧なものだ。
不連続のレコードが無限の闇の中にしまわれ、浮上と沈殿を繰り返している。
だから思い出せるのは、会って間もない頃の事だということだけで、
同時にそれで十分だとも言えた。



その頃のレスカは殆ど口をきかなかった。
話せば話をするけれど、どう話せばいいのか分からない。
いつもそんな雰囲気が見て取れた。

それでも時々見せる笑顔が印象的で、
ダ・サイダーは始終レスカの傍にいた。

そんな時だった。
レスカがあの唄を唄っていたのは。


「なんて唄だ?」


唄ってるあいつに確かそう聞いた。
レスカは黙って首を振って唄っている。
多分知らなかったんだろう。

そうして俺を振り向いて、
あいつは俺に聞いたんだ。

ドキリとするほど無表情な声で。



「アタチ達も捨てられちゃうの?」



思い出した今でも心拍数が上がるのを止められない。
さも当然のようにあいつの目が、俺を見ていた。


用が無いものは、価値の無いものは

・・・・・・・・捨てられる



唄を忘れたカナリアのように



「ば、馬鹿じゃねぇの?唄なんぞ唄えなくたっていいじゃねぇか。
空が飛べりゃぁいいだろ。鳥なんだからよ」


不安を表に出したくなくて、それを悟られたくなくて、俺は大声で怒鳴っていた。

レスカは珍しく目を丸くして俺を見上げている。

「・・・・ダ、ダャ・シャイダー?」
「大体、なんでカナリアだからって唄わなきゃならんのだ!
そもそも俺はそれが気に食わん!!
カナリアだけに、かなりあれだ。・・・・・・どうだ?今のシャレ」

不安を駄洒落に置き換えて期待の眼差しでレスカを見たダ・サイダーだったが、
相変わらず無表情に近い疑問顔で自分を見ているだけだった。


「・・・やっぱり捨てられちゃうの?」
「う。お前俺様のシャレをちゃんと聞いてたのか?」
「?違うの?」
「うぅぅ。今のは会心の出来だったんだぞ・・・・・だぁぁぁ。もういい。」

そんなダ・サイダーの心の叫びも理解できないのか、レスカは疑問を深めるばかりで聞いてくる。

「??何がいいの?」
「くぅぅぅ。えっとだな。思い出すんだろ?どうせ。ならいいじゃねぇか。それで終わりだ。」

ダジャレのことをさっぱり分かってくれないレスカが恨めしい気もしたが、
その疑問に満ちた瞳に逆らえなくて、ダ・サイダーは溜め息とともにそう言った。
そんなダ・サイダーの応えにレスカは少し考えるようにしてから更に問い掛けてきた。

「・・・・思い出す前に捨てられちゃったら?」
「捨てられる前に思い出すんだ」
「絶対に?」
「絶対にだ」
「本当に?」
「本当にだ!」

何度も念を押すように尋ねてくるレスカに、ダ・サイダーも同じように応えを繰り返した。

「じゃぁ、もしアタチが忘れちゃったら、
・・・・・思い出すまで傍にいてくれる?」

疑問から不安へと表情を変えながら、レスカの綺麗な赤い瞳がダ・サイダーを見る。
ダ・サイダーは考えるまもなく即答していた。

「おう!」

そんなダ・サイダーの声にレスカがあの笑顔を浮かべた。
決して飽きる事の無い印象的な笑みを。








「なんだぁ?まだ起きてんのかよ。」

2本目のビールの瓶を片手にダ・サイダーは艦橋に足を運んでいた。
こんな夜中にあんな記憶の欠片を思い出させてくれた相棒に、
恨めしさ半分、なんとなく顔見たさ半分だった。

「何よ、起きてちゃ悪いわけ?」

そういいながら、マグカップを片手にしたレスカがどこか怒ったような、驚いたような目で自分を見上げてきた。


(・・・・随分と表情が豊かになったもんだよなぁ)

夢の中の表情に乏しいレスカと今のレスカが重なって、
ダ・サイダーは怒りっぽくもなったが、こっちのほうが断然いいとそう思っていた。


「あんま夜更かしすっと、おめぇの脳味噌みてぇに顔が皺だらけになっても知らねぇぜ」
「失礼ね!あたしの肌はアンタの脳味噌ぐらいツルツルのスベスベよ!!」

冷たいルビーが今は燃えるように熱く輝いている。
ダ・サイダーは妙に気分がよくなっている事に気付いた。

「ふふん、俺様の脳とおまえの肌なんか比べんなよな。お前の百倍は滑らかだぜ」

こんな他愛の無いレスカとの駆け引きが面白くてしょうがない。
ビール一本で酔うわけは無かったが、それでも今は不思議では無い気がした。


「・・・・・・・あんた、それ今までで一番のギャグだわ」

そう言ってレスカが考え込むようにしてから宙を見上げるのを見て、
ダ・サイダーはようやく我に返った。


「け、明日んなって化粧のノリが悪ぃとかいってケバイを通り越してバケモンになっても俺様に当たるんじゃねぇぞ」


瓶の残りを一気に空けて、ダ・サイダーは一度振り向き自動ドアを出た。
それを追うように何かの衝突音が通路を数刻木霊した。







「思い出すまで傍にいてくれる?」

幼いレスカの声がする。
唯一今と変わらない笑顔が浮かぶ。



ダ・サイダーは瓶をごみ箱に放りながら、もう一度艦橋のドアを振り向いた。
その顔にいつもの自信に満ちた笑みを浮かべて。




(傍にいただろ?だから、早くここまで来いよ)


俺は決して手は引かない。
離した時に立ち止まっちゃ意味が無いから。


だから自分でここまで来い。
自分の足で歩いて来い。


それまでずっとここにいる、
ここでまっててやるからよ。



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