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ここは、「Luftleitbahnen」の別館です。
Fan Fiction Novel-二次創作小説-を置いてあります。
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以前の記事を訂正いたします。
勘違いしておりました。
進藤様への捧げモノ第一弾を「小話 肆」と書いてましたが、こちらが本物の第一弾でした。
リクエスト内容は
「荒垣先輩がサングラスコレクションをしていたことについてハム子に暴露するお話」
です。

ちなみに、リク頂いたのは夏でした(汗)
書きあがったのは10月で・・・・時間かけすぎて本当にだめだめですね。
※Web掲載に際し、少し文脈を変えてあります。

あ、人生で初の大人向けというやつを書きました。
が、ここではちょっとあげられないなぁと思ったので、途中までのUPとなります。
(といっても、お話としては一区切り付けてあります。)

大人向けな部分は、別にアップさせていただきます。
(閲覧にはパスワードが必要です。
 そちらは本館の記事を確認していただくか、別館の暫定TOPをご覧下さい) 


捧げ物用でしたので、本当は別の名前で書かせていただいておりましたが、
自ブログアップに際してハム子を「透流」に変更しております。

あと、元々は縦書き用だったので、Web用にちょっと手直しして有ります。


∞―――――――――――――――――――――――∞



an anecdote.

それは、まだ私の知らない貴方



∞―――――――――∞ 逸話  ∞―――――――――∞




透流が軽やかに階段を降り立つと、予想していた通りラウンジから聞きなれた音楽が聞こえてきた。
日曜日のこの時間は、いつだってこの音楽が聞こえる。
なぜなら、それはある番組のエンディング曲であり、この後の番組を欠かさずに見る人がいるからだ。

(今日は何のメニューかなぁ)

期待に胸を膨らませながら、透流はラウンジへと足を向ける。
すると、案の定そこには見慣れた後姿がソファに沈み込んでいた。
どうやら、随分と熱心に雑誌を読んでいるらしく、透流の降りてきた気配には気づいていない。
その姿に、透流はちょっとした悪戯を思いつくと、そろりそろりと足音を殺して近寄った。
真後ろに立ち、そっと息を吐いてから、「えいっ」と覆いかぶさろうとしたその瞬間。
しかし、透流の動きはピタリと止まってしまうのだった。

 
「・・・何やってんだ?お前」

ふと、耳に飛び込んできた『今日の献立は~』という聞きなれた番組の司会者の声。
荒垣がしまったとばかりに雑誌から顔をあげてみれば・・・
そこには目を点にして、口をぽかんと開けたまま、両手を挙げて妙なポーズで固まっている透流の姿があった。
透流のそれが移ったように、荒垣自身も目を点にして、浮かんだ疑問を音に乗せれば、透流の身体がビクリと震えた。

「あ、えっと、その・・・
先輩が、料理以外の本見てるのにびっくりしちゃって。」

鳩が豆鉄砲でもくらったかのように、目を何度もパチパチと瞬かせ、あたふたと答える透流。
荒垣はその言葉に膝の上に広げられている雑誌に再び視線を戻した。

「あぁ、こいつか?
部屋片してたら出てきてな。全部捨ててったと思ってたんだが……」

アルバムでも閉じるように、広げた雑誌をゆっくりと閉じた荒垣は「ん?」と思い出したように頭に疑問符を浮かべた。
そのままジト目で透流を見上げる。

「お前、もしかしてそれで固まってたのか?
ったく、一体どういう風に俺のこと見てんだ?」

荒垣の向けた視線から、ふいと顔をそらし「そ、そんなことは」と呟きながらも悪戯が見つかった子供のようにしゅんとしてしまう透流。
しかし、次の瞬間にはまるで電流でも走ったようにバッと顔を上げると、荒垣に食いつくように大きな目を見開いた。

「『捨ててった』って、もしかしてその雑誌ってまだここを出ていく前の時のですか!?」

一瞬前の耳を伏せた子犬のような姿から、一転して興味津々と目をキラキラと輝かせて荒垣を見つめてくる透流。
その姿に、荒垣は小さく吹き出した。
「仕方ないな」と呟きながら、その言葉とは裏腹な穏やかな表情を浮かべる。
たたんだばかりの雑誌でソファの隣を軽く叩き、座れとその目で促した。

尻尾があったら、きっと千切れんばかりに振られているに違いない。
そう思えるほどに顔を輝かせ、タタッと隣に駆けこんで来ては、飛び込むようにソファにダイブをしてくる。
「落ち着け」と苦笑を浮かべると、荒垣は手にした雑誌をポンとその小さな頭に乗せてやった。

「お前が見て面白いかはわかんねぇぞ?」
「大丈夫です!!」

何がどう大丈夫なのかはまるで分からないが、しかし自信満々に答える透流に荒垣は笑う。
熱心に雑誌を捲り始めた彼女の頭を撫でながら、そういえばとようやくラウンジに来た理由を思い出し、荒垣はその視線をテレビへと移すのだった。



透流はくすりと小さく笑った。

手渡されたその男性用のファッション雑誌は、紙の褪色もほとんどなく、数年前の物とは思えないほどに綺麗なものだった。
パラパラとページを捲れば、その内容は順平が普段読んでいるものとも、真田が読んでいる(こちらは主にターザンなので比較対象にはならないが)ものとも、同じクラスの男子たちが教室で広げているものとも違っていて、透流には新鮮そのものだ。
そのどこか一般向けというよりは、マニア向けっぽくみえる雑誌の選び方や保存状態が、まるで荒垣の内面を如実に語っているようで、ついつい口元がほころんでしまう。
そんな中、あるページで透流の手が止まった。

『モッズコレクション特集』

何度も見なおしたからだろう、折り目などがほとんど見当たらない雑誌の中で、その数ページだけは独特の癖が付いていた。

「先輩って、モッズ系が好きなんですか?」

いまいちモッズ系がどういうものかは分からなかったが、その特集ページに載っている写真を見る限り、荒垣が愛用しているPコート同様細身のシルエットが特徴なようだ。
「なるほどなー」と一人うんうんと頷きながら、透流はその視線を荒垣のコートと雑誌の間で何度も往復させる。
疑問系で話しかけはしたものの、ほぼ自己完結で納得しかけていた透流の耳に、しかし荒垣からあがった答えは予想外なものだった。

「ん?いや、特にモッズに興味はねぇぞ」
「え?」

たった今納得したばかりの答えをさらりと翻され、透流は再びぽかんと口を開けてしまった。
その気の抜けた声に、TVを見ていた荒垣が振り向くと「なんでモッズなんだ?」と透流が広げていたページに視線を落とした。

「あー」

そう呻き声を漏らすと、何故か今度は荒垣の方が視線をそらし、ごまかすように再びTVの方へと顔を背ける。
透流はすかさずその手を伸ばすと、両手で荒垣の頬を包むが早いか、グイとばかりにこちらを向かせた。
なんだかちょっと嫌な音が聞こえたけれど、それは無視することにした。

「いってぇ」
「先輩、なんで隠すんですか!」

顔をしかめながら、それでも視線をそらす荒垣に、透流は睨む様に見上げながら荒垣に詰め寄る。

「か、隠してねぇよ。本当に興味ねぇんだって」
「じゃぁ、なんでこっちを向いてくれないんですか?」
「そりゃ、ほ、ほら、TVの方がだな、
今夜はシチューなんてどうだ?そろそろ寒くなってきたしだな・・・あ」

ごまかすようにTV画面の方を指差す荒垣に、頬を膨らました透流がさらに言い募ろうとした時だった。
不意に透流の頬を伝うものがあった。



-透流には泣く気など無かった-
-透流を泣かせるつもりなど荒垣には無かった-



気が付けば、透流の瞳からは自分でも自制することの出来ない涙がポロポロと零れ落ちていた。
透流自身《こんなことで泣くなんて》そう思うのに、口をきつく結んでも瞳からこぼれる涙が止められない。
今まで知らなかった大好きな人の一面が見れたことが凄く嬉しかった。
でも、そう思った瞬間に否定されたことが、思いのほか透流の心に響いていた。
荒垣の頬の温もりを両手に感じたまま、どうしようもない自分の感情に透流はうつむいてしまう。

「な、泣くなって」
「泣いてない・・で・す・」

うつむいて、雑誌の上に雫を落としながら搾り出すように答える透流に、荒垣は奥歯をかみ締めた。
泣くなと願いながら、いつだって泣かせてしまう自分の不器用さが不甲斐なくて、これ以上はないほどに腹が立つ。
唇をかんで耐えようとする華奢な身体を強引に抱き寄せると、その背中をポンポンと軽く叩きながら、耳元に唇を寄せた。

「悪かった。別に隠したかったわけじゃねぇんだ。
なんつーか、その、ばつが悪ぃっつーか・・・」
「?」

荒垣の言葉に、まだ瞳を潤ませたままではあったが、顔を上げた透流の首が右に傾げられる。
それに息を吐きつつ、荒垣は被っていたニット帽の上から、頭をガシガシと掻くと、観念したように天井を一度見上げた。

「サングラスだよ」
「?」

やはりまだ濡れたままの瞳で、今度は透流の首が左に傾く。
荒垣は一つ大きく呼吸をすると、透流が広げていたページのある箇所を指差した。
そこは、特集記事のスーツやパンツに合わせた小物の類が紹介されている一角。
荒垣の言うとおり、サングラスが数種類説明とともに掲載されていた。

「その、なんだ。あの頃はグラサン集めてたんだよ・・・」
「先輩が、サングラス?」

きょとんと見上げた視線の先で、拗ねたような表情で「悪かったな」とぶっきらぼうに答える荒垣に、透流は再びうつむいてしまった。
しかし、今度は小さく肩を震わせて、零れそうになる笑いをかみ殺している。



-可愛いと思ってしまった。
本当にこの人は、なんでこんなに照れ屋で、優しくて、不器用なんだろう-


「わ、笑うな!
あぁ、くそっ」

うつむいてはいるものの、隠しきれてない笑い声に、荒垣は顔を真っ赤にすると再び強引にその身体を抱き寄せて、きつく戒める。
そんな照れ隠しなどきっとお見通しだったのだろう、透流が肩口に顔を埋めたまま、小さく囁いた。

「ごめんなさい、先輩。でも、そこって照れる必要ないとこだと思いますよ?」
「う、うるせぇなぁ。な、なんとなくだな・・・いや、ほら・・・」

まだぶつぶつと続ける荒垣に、透流はにっこりと微笑んだ。

「ねぇ、先輩。聞かせてください!
どんなの集めてたのかとか、そういうことをいっぱい♪」
「あ?
あ~~。さっきも言ったが、面白いかわかんねぇぞ?」

楽しそうに笑う透流の前髪を、くしゃりとその手でかき回しながら荒垣が問えば、透流は再びからりと笑った。

「大丈夫です!さっきもそう言ったじゃないですか!
だから、ね?」




-いつもより、ほんの少しだけ熱を帯びた声。
フレームの形を描く、なめらかな指の動き。
宝物を前にした、子供のような表情-




フレームの形、レンズの種類、透過率について。
荒垣の話す内容は、はじめこそ透流に分かりやすいように噛み砕いたものだったが、段々と興が乗ってきたのか、途中からは専門用語が一杯で、半分も理解することが出来なくなってしまっていた。
けれど、とても楽しそうに、嬉しそうに説明する荒垣の姿に、透流の鼓動もつられて熱を帯びていく。
料理をする時の荒垣もとても楽しそうではあるけれど、なんだかそれ以上に年相応の【少年】としての荒垣がそこにいる気がして、透流は堪らなくなってしまった。
こみ上げてくる愛しさと共に、ぽふっと荒垣に身体を預けると、透流は幸せそうに微笑んだ。

「先輩、大好きです」

驚いたように一瞬目を見開いてから「知ってる」と柔らかく目を細めると、荒垣はそっとその唇を柔らかな髪に落とした。



TVからは、すでに次の番組の音が流れ始めていたが、穏やかな午後のひと時はまだまだ終わりそうに無かった。





∞―――――――――――――――――――――――∞



an anecdote.


それは、まだ私の知らない貴方


それは、これから知る貴方



続きはコチラ
∞―――――――――――――――――――――――∞
先輩がサングラス・・・実際のイメージを描くと
カタギじゃない人に見えそうです(笑)
でも、意外な趣味とかいいよねぇ。
まぁ、料理ってだけで十分意外ですけど!
始めまして。
今日は。実はずっと読ませて頂いてましたがなかなか拍手コメントも出来ませんでした…3Gの携帯電話からの為。自分も荒垣さん大好きでハム子が出た時はガチ喜びでした!アメーバ掲示板で荒ハム書いちゃったくらいに(笑)続きも気になりますのでよろしければパスワードお願いいたします。
謀り鴉 2015/02/04(Wed)14:52:21 編集
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