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ここは、「Luftleitbahnen」の別館です。
Fan Fiction Novel-二次創作小説-を置いてあります。
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嫉妬萌って言葉に、想像をしてみる・・・・・
うわ、やべ、なんか凄い難しい。
勢いで書いたら、なんか後半グダグダ。でもいいや(いいのかよ)

女々しいお話しになりました。お目汚し失礼致します。
あ、ハム子視点話です。



∞―――――――――――――――――――――――∞


春待ちの花のように

夏待ちの帆のように

秋待ちの山のように

冬待ちの翼のように


∞―――――――――∞ 息吹  ∞―――――――――∞



「ただいま~~」

いつものように、透流は大扉を開けると同時に、ラウンジへと声をかけた。
ここ巌戸台分寮では、誰かがいれば必ず答えてくれる。

しかし、今日はまだ誰も帰っていないのか、返ってくる声はなかった。
実際、ぐるっと見回して見ても、ラウンジに人の姿は見当たらない。
それなのに、TVからは少し高めの音量が響いていた。
どうやら教育番組が付けっ放しになっているようだ。
子供向けの内容なのか、時折派手な音がする。

(う~~ん、誰もいない・・の?)

そう思っていると、奥の方から微かな声が聞こえてきた。
TVの音に掻き消されて、内容はよく聞こえない。

透流はそのままラウンジを過ぎ、ダイニングの方へと向かう。

キッチンのドアが開け放たれており、どうやらその奥に誰かがいるようだった。
TVの音と、この距離では、ただいまなど聞こえるわけが無い。
透流はなるほどなーと思いながら、キッチンへと足を向けた。


「だから、そうじゃねえって・・・」
「え?だって、さっき大さじいっぱいって」

「1杯だ・・・いっぱいじゃねえよ」

荒垣のどこか溜め息交じりの声と、風花の焦った声が聞こえた。
その内容に、透流の顔に思わず苦笑が浮かぶ。

「仕方ねぇなぁ・・・いいか、ここはな・・・」
「は、はい!・・あれ・・ここも違う?・・」

カウンター越しに向こうを覗きこんだ透流の目に、二人の並んだ姿が映った。
ちょうど、透流に背を向けたままの格好で、風花のノートを見ながら二人で話し合っている。

「・・・・」

ただいまと、そう言いたかっただけだった。
そう声を掛けて、その輪に入っていけばいいだけだった。
それなのに・・・


透流は、そのまま踵を返すと、静かに階段をかけ上がった。






ベットの上で、枕を抱きかかえたまま、透流はぼんやりと時計を見つめていた。

何故、自分はあそこで声を掛けられなかったのだろう。
どうして、たった一言が言えなかったのだろうと。

ただ、あの場所に居たくなかった。
向けられた二人の背中が遠くて、まるで自分だけ壁の外側に居るような・・・いや、違う・・もっと・・・


フルフルと頭を振るい、枕に顔を埋める。


その先を考えたくなかった。
考えてしまったら、きっと、きっと今の日常が壊れてしまう。
そんな気がした。


充実した学園生活。
仲間達と笑い合い、時には喧嘩して過ごす楽しい毎日。
戦いはあれど、それでも着実に一歩一歩強くなっていると実感する日々。

ココに来てから、今まで得られなかったものをこんなに得たでは無いか。
もう十分に自分は恵まれているでは無いか。

これ以上、一体何を望むのだろう・・・・




コンコン


ハッと気がつけば、あれから既に2時間が経っていた。
ノックの音に、は~いとわざと眠たげな声を返す。

「あ?もしかして寝てたのかな?」

風花の声に、ドキリと透流の心臓が跳ねた。
自分の心を見透かされたようで、無性にいたたまれなくなる。
しかし、彼女の声から滲んで来るのは、いつもの優しい気遣いの色。
透流は、パンと顔をはたくと、今開けるよと声を掛け扉へと足を向けた。
・・・彼女は何も悪く無いのだ。

「ちょっと月光祭の準備で忙しくてさ、つい寝ちゃってたよ~・・・えっと、どうしたの?」

ドアを開けながら、眠たそうに目を擦れば、ほっとしたように風花が笑った。
その笑顔が、やっぱり優しくて、何故かとても泣きたくなる。

「そうだよね。じゃぁ、やっぱり変わったほうがいいよね。」
「ん?なんだっけ?」

一人で納得した様に、うんうん頷く風花の姿に、透流ははてなと首をかしげた。
感情はおいといたとして・・・あまりに話が見えない。

「コロちゃんのお散歩、今日は透流ちゃんだったでしょう?
でも、疲れてそうだし・・・変わった方がいいかなって」

それを聞いて、透流はあっ!と声を上げていた。
確かに、今日の散歩当番は透流だった。

「ううん、大丈夫!!ちゃんと行って来るよ。むしろ目を覚ましたいんだ!」

そう?と言う風花に力強く頷くと、彼女はわかったと微笑みながら、思わぬ事を口にした。

「でも、無理そうだったら言ってね。いつでも変わるからって荒垣先輩が」
「え?」

透流が驚いて目を見開くと、風花がふんわりと笑った。

「先輩、心配してたよ?透流ちゃん、疲れてるんじゃないかって」
「えと、でも・・・なんで・・・」

ワケが分からないと言う風に透流が首を振れば、風花がう~んと考え込むようにしてから透流を見返してきた。

「私は分からなかったんだけどね。

先輩、透流ちゃんが階段上っていく音に気がついたんだって。
いつもは必ず声掛けるでしょう?それが無かったからって・・・心配してたよ」

その言葉に、透流は目を伏せる。

「じゃぁ、無理しないでね。私はもう少しノート纏めたいから部屋に戻るね。」

透流の様子に気づいたのか気づかないのか、風花はもう一度笑うと自室へと戻っていった。



透流は、階段を駆け下り1Fロビーへと向かう。

その足音に気がついたのか、すでにリードを自分で咥えて待っていたコロマルが、透流の元に走ってきた。

「ワン!!」
「ごめんね!!じゃぁいこうか!!」
「ワンワン!!」

尻尾をバサバサと振るコロマルに、リードをかけてやりながら、透流はキッチンへと視線を向けた。
そこには、いつものように壁に背を預けた荒垣の姿。
無言のまま、荒垣は透流をじっと見つめていた。
その目を見ないようにして、透流はぺこりと一度頭を下げると、勢い良く外へと駆けだした。






ひんやりとした夜気が身体を包みこむ。
まだ肌寒くなる少し手前。
温かくは無いけれど、むしろ頭がスッキリする気持ち良さが含まれている。

「行っておいで~~」

コロマルのリードを外してやると、コロマルは大喜びで境内の奥へと駆けて行った。
それを見送り、透流はベンチに座って空を見上げた。

それなりに発展している地域の割りに、ココから見る空は思いのほか高く澄んでいる。
星の海が・・・・哀しい位に綺麗だ・・・・



「・・ふ・・ぅ・っ・・」


不意に透流の口から、その瞳から、箍が外れたように心のカケラが零れ落ちた。
ずっと我慢していたモノが、堰をきったように流れ出してしまう。


どんなにごまかしても、どんなに見ない振りをしても、それは所詮振りでしか無い。
本当は分かっていたのだ。
あの時、何故自分が声を掛けなかったのか。

ただ、認めたくなくて、自分に嘘をついて・・・・
それがどんどん積み重なって、心は余計に苦しくなった。


風花は、自分をあんなに気遣ってくれているのに。
いつだって、優しくみんなを包んでくれている。
それなのに・・・


あの気持ちは・・・嫉妬だ。
あの場に居るのが自分では無い事への、醜い憤り。


風花をそんな目で見てしまった自分が許せなかった。
大切な仲間、大事な友人。

そんな気持ちが自分にあって、大事な人に向けられた。
何て愚かな事をしているんだろう。

ただ、みんなといられるだけでいい、そう思っていたはずなのに。
それだけで十分贅沢だって分かっているはずなのに。

気づいてしまった自分のココロ。



あの人が、"特別"になっていた。



穏やかな笑顔が好きだと思った。
ぶっきらぼうなのに、見え隠れする優しさが嬉しかった。
その声を聞くと、ひどく心が落ち着いた。
頭を撫でられれば、それだけで幸せになれた。
時折見せる切なげな表情が、胸をぎゅっと苦しめた。



あの人が・・・"好き"




零れ落ちる涙を止められなくて、気づいてしまった気持ちを止められなくて、透流はベンチに腰掛けたまま、ただ一人蹲った。
誰もいない境内に、小さな嗚咽が、さざめく秋の風に混じって溶けた。




一頻り泣いた頃だろうか、ふわりと、何かが透流を包みこんだ。


柔らかい布の感触。
その布越しに感じる、優しい温もり。
まさかと思った。否、でもどこかで確信もしていた。

「先に言っとく。
言いたく無かったら言わなくていい。」

聞きたくて、聞きたくなかった低い声。

「・・・なんかあったのか?」

ほら、こんなにもこの人は優しい。

だからきっと、自分は勘違いをしてしまうのだ。
この優しさは、自分だけに向けられているものじゃないのに。

透流は、何も言え無いまま、その首をフルフルと左右に動かした。
そうすれば、その大きな手が、透流の頭にポンと乗せられる。
そうかと小さな声がして、そのままずっと優しく頭を撫でてくれた。

無音の語らいが、まるでそこにはあるように・・・・






「ワンワン!!」

奥の方を走り回っていたコロマルが、気が済んだのか戻ってくると、荒垣の姿を見つけて大きく声を上げた。
いつも以上に尻尾が勢い良く振られている。


「コロ、もう気い済んだのか?」

荒垣の優しい声音が、コロマルに向けられた。

ほら、やっぱりみんなに優しいんだ。

透流の中に、小さなトゲが生まれる。
そのトゲに、透流自身が顔をゆがめる。
無意識に、透流の手は、自分を包んでくれたコートの端をぎゅっと握り締めていた。



「ワン!!」

同意するように鳴いたコロマルに、荒垣がリードをつけ、小さくお座りと命じた。
コロマルが座るのを確認すると、じっとその目が透流を見下ろしてくる。

コートの端を握る手が震えてしまう。

それを見たのか、荒垣の手がゆっくりと自分の手を包むと、握っていたコートを外された。
やっぱり迷惑だったよね、そう思った瞬間、掴んだ手がそのまま引き寄せられた。
荒垣の厚い胸板に、透流の頭が押し付けられる。


「もう一人で泣くな」

大好きな低い声が、切なげな響きを伴って耳に届く。
こんな風に優しくされるから、だから・・・
心配される資格なんて、自分には無いのに、つい勘違いしてしまう。

もっと自分はどうしようもない事で、醜い事で、泣いていたのに。
違うのだと言いたくて、でも言えなくて、透流は身動きが出来なくなる。


イヤイヤと首を振る透流を、荒垣がどうとったのか分からない。
だけど、優しくて、でも辛そうな響きが透流を包んだ。


「・・・仲間がいんだろ?」


あぁ、やっぱりそうだ。
"仲間"だからだ、この優しさを勘違いしてはいけないんだ。
透流はぐっと拳を握り締める。
これ以上、この人の優しさに甘えてはいけない。

握り締めた拳を無理やり解き、荒垣の胸にあてると、抱きとめられた頭を引き剥がす。
その温もりに後ろ髪を引かれる自分を叱咤して、透流は笑顔を浮かべる。

「ごめんなさい。ちょっと最近忙しかったから、色々溜まっちゃったんです。
もう大丈夫ですから!」

ぺろりと舌を出して笑えば、自分自身をも騙せる気がした。
それで辛くなろうと、この人を心配させるよりは百倍マシだと。

「・・・・・お前」

何か言いたげな荒垣の瞳を、真っ直ぐ見つめて透流は笑った。
後手に組んだ指に、自分の爪が痛いほど食い込んでいく。

「いやいい

・・・・・なら、帰るか?」
「はい!」

鳥居を振り返った荒垣に、元気よく声を上げれば、コロマルもワン!とばかりに同意してくれた。
それがなんだか妙に可笑しくて、透流がつい吹き出すと、荒垣もまた笑ってくれた。
二人でコロマルの頭を撫でながら、行くかと階段へと足を向ける。

「でも、アレだな。
その顔だとまんま帰れねえな・・・・コンビニ寄っか」
「あ、じゃぁアイス買って下さい」

「俺がかよ」

荒垣の呆れた声に、いいじゃないですかと上目遣いに見上げながら、透流は自分の心を箱に閉まった。
お互い、本音を押し殺し、何事も無い日常のように、ただ寮への道を歩き出す。
ほんの少しの寄り道をして。





何故なら今は・・・まだ目覚めの季節。






∞――――――――――――――――――――――――∞



春待ちの花のように

夏待ちの帆のように

秋待ちの山のように

冬待ちの翼のように



君待ちの恋が 今・・・息吹をあげる



∞――――――――――――――――――――――――∞
某お方の嫉妬萌ってのに触発されて書いてみました(汗)
てか、いや~。嫉妬萌になってない・・・
とりあえず、逃げよう..。。(ノ>_<)ノ
萌え~!
ガキさん、素敵です。
優しいです!
あ~ハム子の嫉妬がまるで自分の嫉妬のように!
堪能!ですよ
acqua 2010/03/01(Mon)12:17:28 編集
Re:萌え~!
ガキさんはバファリンより優しさ成分高いのです!!
ハム子に共感していただければ、本当にありがたいことです。
楽しんでいただけて、嬉しゅうございますわ~~~
【2010/03/02 08:02】
嫉妬萌えです!
わわわわわ(動揺)素敵な嫉妬萌えをありがとうございます!
ああもうハム子ちゃんが可哀想で可愛くてたまりません。
立ち入らないようにしているガキさんの親切が優しくてひどくて!
早く目覚めて!イチャイチャしてーー!!
…こういう、かわいい子を嫉妬で燃えさせてから可愛がってあげて、
という矛盾した気持ちが嫉妬萌えの本質なんだと思うんですが(汗)
ひどくサディスティックですよね、あうあう。
ごちそうさまでしたー!!
キューブ 2010/03/01(Mon)20:03:15 編集
Re:嫉妬萌えです!
ちゃんと嫉妬萌えになってました?ドキドキ(/ω\)
ガキさんは、きっと聞きたいけど聞けなくて・・・
で、俺には言えないのかよ!とか内心思ってれば良いのです(笑)
ほんと、相思相愛なんだからさっさとイチャコラすればいいのにですよね。
う~。でも「かわいい子を嫉妬で燃えさせてから可愛がってあげる」ってのが
またキますねぇ・・・うわぁ、なんか萌えます!!
自分で書きつつ、ちょっとベタな展開かと思いましたが、楽しんでいただけたようで♪
こちらこそ、美味しい萌え要素をありがとうございました!!
【2010/03/02 08:09】
ガキさん…
早くくっついて欲しい!と思っちゃいました!
頭なでなでされるハム子が羨ましい…
葛子 2010/03/01(Mon)22:38:47 編集
Re:ガキさん…
ほんと、早くくっつけよって感じですよねぇ!(私が言うな)
書いてて、私も頭撫でて欲しいと思いました(爆)
ほんと、イチャコラすればいいのに!(だから私が言うなww
【2010/03/02 08:04】
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