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ここは、「Luftleitbahnen」の別館です。
Fan Fiction Novel-二次創作小説-を置いてあります。
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週末に書き上げてたもう一本のSSです。
息吹先にあげちゃいましたけどね・・・こちらは箸休めっぽい感じです。
あ、荒ハム前提ですが、何故か順+荒話です(ハム子が空気)
ほのぼのとして貰えれば幸い。
(余談だけ、微妙にギャグっぽい)



∞――――――――――――――――――――――――∞


終焉ヘ続ク暗キ旅路


果テ無キ道ヲ 渡ルハ鳥


一羽ハ、己ヲ知ラヌ者
一羽ハ、己ヲ許セヌ者



止マル術知ラヌ ソノ翼デ

己ガ運命ヲ 切裂キ飛ベ


∞―――――――――∞ 安息  ∞―――――――――∞


ことり


荒垣の肩に、心地よい重みがかかったのは、予想よりは幾分早い頃合だった。

「ったく、だから言っただろうが・・・」

おいとばかりに声を掛けようとした荒垣に、意外な声が待ったをかけた。

「すんません、荒垣サン。
ゆかりっちがあがってくるまで、ソイツも少しだけ寝かしといてやって貰えません?

・・・だいぶ、疲れてるみたいっすから」

困ったように笑いながら、いつもより大分トーンを落とした順平の声が荒垣に向けられた。
多分、透流を起こさないようにという配慮なのだろう。

こいつは、お調子者だが、見る所では見ていると荒垣は思った。

S.E.E.Sに復帰して半月あまり、メンバーの大体の人物像は把握したつもりだった。
真田と桐条は言うに及ばず、新顔の(向こうから見れば自分の方が新顔かもしれないが)
2年組みの大まかな所は見て取ったつもりだ。
正直、必要以上に馴れ合う気は無かったが、ソレを把握しない事には、戦う事もままならない。
だから仕方が無いのだと、そう自分を納得させていた。
実際、今日のタルタロスでも、自分のポジション、スタイルはメンバーによって微妙に変えていた。
それをアイツらが気づいているかは知らないが・・・


目の前で、苦笑している後輩は、普段は言動共に軽いヤツだ。
ムードメーカ的と言っても良いのかもしれない。(その作り出すムードがどうかは知らないが)

だが、ある部分では、時折本質を見抜いている。
そういう意味では、真田よりもよほど鋭いのかもしれない。
まぁ、真田の場合は・・・・・・

今の自分への言葉も、多分そうなのだろう。
実際、順平が透流を見る目は、気遣いの色が濃く現れていた。


「変わりっちゃなんすが、珈琲もう一杯どうすか?」

荒垣サン程じゃないすけどと笑いならがら、すでに荒垣の空になったカップも持って、順平は立ちあがっていた。
悪いなと返しながら、荒垣がその背を見送れば、今度また夕飯で返してくださいよとちゃっかりした台詞が帰ってくるのだった。

順平の姿を見たのは、真田の病室と、裏路地での2回だけだった。
正直、真田の病室での記憶はあまりない。
ペルソナをもっているという理由から、顔が僅かに記憶に残ったくらいで、それ以上ではなかった。
むしろ、裏路地での事の方が印象は強かった。
まぁ当たり前と言えば当たり前かもしれない。
あんな場所に、女二人を連れてきたのだから・・・・。
だが、あの時その目に湛えていたモノと、今のあいつの目に宿るモノは、違っていた。
迷いがないというわけではないが、それでもいい目をするようになった、荒垣はそう思っていた。


人は変わる・・・変われる・・そういうものなのかもしれない。




すぅすぅと穏やかな寝息が、静かなラウンジの空気を小さく揺らしている。
肩にかかった、温もりをもった圧力が、不思議と気にはならなかった。
むしろ・・・・
軽く吐息をつきながら見下ろせば、少女の小さな肩が眼下で僅かに動いている。
危なっかしく頭を上下させながら、しかし、その深く落ちた瞼は、当分持ち上がりそうに無かった。





失踪者が居る。しかも複数人らしい。

そうこの少女が言ったのは、寮に帰ってきてすぐの事だった。
透流が、どこからそう言う情報を仕入れてくるのかは分からない。
だが、その発言に間違いが無いと言う事は、他のメンバーの纏った空気で分かったし、実際に10日程前にも同様の事があった。
その為、すぐさま今日のタルタロス行きが決まった。


実際、今日の探索はハードだった。
前回の時は、到達最上階の比較的近くのフロアに失踪者が居たためにすぐに発見できた。
しかし、今回はそうはいかなかった。
透流の情報では、失踪者がいる階層はかなり上層だった。
結局、そこへ行くために、ボスのフロアを2つ程越えねばならなかったのだ。
何度もメンバーの入れ替えが行われ、影時間をフルに使ってのギリギリの探索となった。

「ごめんなさい、もうちょっとだけ先に進みます。多分だけど、最上階が近い気がする。」

なんとか無事に失踪者を発見したあと、すまなそうにそう言った透流の姿を思いだす。
身体は疲れていたが、その透流の言葉に異を唱える者は居なかった。
誰もが分かっていたのだ、時折、透流は山岸以上にこの得体の知れ無い場所の事を理解していると。
結局、すぐあがった先が最上階となり、その先へ進めなくなった事で探索は終了となった。
戦果としても、誰一人大きな痛手を負う事は無かったし、最上階に到達した時は笑顔さえ浮かんでいた。

恐れ入ると思った。
その全てを一重に采配し、指示を出し、戦闘の先陣をきるこの小さな存在に・・・・
12の仮面を使い分け、この夜に誰より馴染んでいる様に見える、その姿に・・・・


その後寮に戻って来ると、皆汗だくで満身創痍な身体をなんとかしようと、深夜にも関わらず風呂待ちの大行列になった。
こう言う時は、やはり湯船につかりたくなるものらしい。
男の方は天田がコロマルを連れて先に入り、その後を今真田が使っていた。
その次が順平であり、最後が荒垣だ。
女側は、美鶴、山岸と先にあがり、今は岳羽が使っているのだと透流が言っていた。
あの時グーを出していれば!!と透流が力説していたので、じゃんけんに負けたのだろう。

結局、この順番待ちの間をラウンジで過ごしていたわけだが、いつのまにか珈琲をいれさせられていた。
寝ちゃいそうです~とあえて自分を見上げてきた透流と、便乗してきた順平に逆らえなかったとも言える。
何故逆らえなかったのかは・・・・・あまり考えたくない。

だが、どうやらそれも徒労に終わってしまったらしい。
ひとしきりたわいの無い話をしていたのだが、気がつけば横に座った気配はその目をしょぼしょぼとさせていた。
段々と口数が減っていき、終いには空になったカップをもったまま、荒垣の肩にその華奢な身体を預けていた。





「あんま無理すんな・・・」

思わず伸ばした手が、その柔らかな髪を撫でると、んっと小さな声が上がる。
手の温もりが心地いいのか、逆に擦り寄ってくる仕草に目を細める。
荒垣が心の奥底に、無意識の海に沈めたはずのモノが、浮き上がってきそうになるのを感じる。
それに気づかない振りをして、撫でていた手を下ろすと、荒垣は透流の手からそっとカップを奪った。

「・・・コロみてぇだな。お前」
「ほんとっすね」

唐突にかかった声に、机に戻そうとしていたカップを落としそうになった。
いつの間に戻ってきたのか、順平が向かいのソファに座りながらニヤニヤと荒垣を見つめている。

「ブラックで良かったんすよね?」

僅かにからかいの色を含んだ声音が問えば、荒垣はぶっきらぼうにああとだけ返し視線を外す。
その一連の流れにも、やはり透流が起きる気配は無い。
荒垣の挙動をどう見ているのかいないのか、順平が珈琲をすすりながら口を開いた。

「でも、そんな風に透流っちが気ぃ抜くのって、荒垣サンの前位っすよね」

先ほどのからかいの色は微塵も無く、しみじみとした口調で順平は透流を見つめていた。
どうやら、荒垣をからかうつもりは無いようだ。
むしろ、どこか珍しいモノを見るような視線が透流を向いている。

「そうか?」

荒垣からしてみれば、コロマルと同じように、いつも自分の回りをパタパタとまとわりつく少女は、今の見た目そのものだった。
むしろ、無防備すぎるのでは無いかと思わずには居られない程に。

「どっちかつうと、猫っぽいって思ってたんすけどねぇ・・・・・
なんか、荒垣サンの前だと、確かに犬っぽいっすね。」

意味わかんねえと返しながら、荒垣は順平の入れた珈琲を一口飲み下す。

「豆、変えたのか?」
「あ、やっぱ分かりました?同じのだと絶対荒垣サンにかなわない自信あったんで」

豆だけでもってブルマン奮発したっすと自信満々に言う順平に苦笑が漏れる。
その後も、順平は荒垣に学校での透流の話など、聞いてもいない事を次々と口にした。
その口はどのスイッチを押したらとまるんだ?と思う一方で、どこかでその続きを望む自分を感じていた。

裏路地にいた頃には、他人の存在が煩わしかった。
自分に無駄に関わろうとするものは、ことごとく遠ざけてきた。
それが今はどうだろう。
この何気ない時間が、人といる空間が、こんなにも優しいものだったのかと思わずには居られない。

それを、許されないと思う自分が・・・・ひどく苦しかった。



「・・・もっすね・・・」

順平の微かな声に、荒垣が顔をあげると、何でもないっすとニッと笑った。
あ?とじっと見つめれば、その目つき怖いっすよと頬を引きつらせる。
なんだか気が抜けてふっと息を吐いた所に、キッチンの方から微かな物音がした。

「真田さん、あがったみたいっすね。んじゃ。俺入って来るんで」

あっさりと立ちあがると、順平は自分のカップを持ったままキッチンへと足早に去って行ってしまった。

真田と決まったわけでは無いだろうにと思いながら、それでも入った順番から考えればそうかもしれないと思い直す。
まぁ、出てくれば分かるだろうし、分かった所でどうでもいいことだ。


ただ、相変わらず肩越しに伝わってくる柔らかな温もりを、もう少しだけ感じていたかったのかも知れない。
たとえ、それが自分の罪の重さを増すモノだとしても・・・




キッチンへの扉に手をかけながら、順平は一度だけラウンジを振り返った。

(荒垣サンも、透流っちといる時だけは、違う顔してるっすよ)

先ほどの呟きを反芻しながら、そうだと閃いた思いつきに、順平はその口角をニンマリと上げた。
我ながらいい案だ。順平は一人満足顔でキッチンへと飛び込んでいった。




「ラウンジの二人、起こすべからず」


風呂場から戻ってくるドアに、その付箋が張ってあったのを荒垣が知るのは、翌朝になってからのことだった。




 - 今だけは、どうか安息の時を -





∞――――――――――――――――――――――――∞


終焉ヘ続ク暗キ旅路


運命ニ刃向カウハ 二羽ノ鳥


一羽ハ、未ダ己ヲ知ラズ
一羽ハ、未ダ己ヲ許セズ



セメテ今宵ハ 安ラカニ眠レ

高ク遠ク ソノ翼ハタメカスタメ


∞――――――――――――――――――――――――∞


余談(微妙にギャグ)


ポス!

その衝撃に荒垣が目を覚ますと、彼女の頭が自分の膝に落ちていた。
慌てて、その身体を揺り動かせば、ん~と可愛らしい声を出す。

「ば!おま、おきろ!!」

真っ赤になりながら、寝ぼけている彼女の身体を無理やり起こしてガクガクと揺さぶる。
半混乱状態の荒垣は容赦が無い。(まぁ仕方も無い)

あぅあぅと首を前後に振るわせて、透流がやっと目を開ければ、ふにゃっと笑って抱きついてきた。
せんふぁ~~いと間抜けな声を出して、荒垣の胸に顔を擦りつけてくる。
完全に透流は寝ぼけていた。


そして、荒垣はオールバステ状態になった。


その後は・・・夜の闇とコロマルだけが知っている・・・だろう。







∞――――――――――――――――――――――――∞
miyaは順平が大好きです。男女の親友っていいよねぇ。
余談だけ、ちょっとギャグ。でもシリアスにあげちゃおう(笑)
ぐっ
さすが順平! GJ!! 笑
バステブースタ付きハム子の先制攻撃!!
acqua 2010/03/03(Wed)01:38:00 編集
Re:ぐっ
順平いいっすよねぇ。お調子物だけど大好きっす。
ハム子のクリティカルです。でも追撃はきっとガキさんターン(笑)
【2010/03/03 08:05】
無題
男女の友情、特に順平とハム子のは大好物です〜
順平いい奴だなぁ…vとにんまりした後の「余談」で興奮!
おおおお、寝起きのハム子は最強ですね!全バステ付き!(笑)
ごちそうさまでした!
キューブ 2010/03/03(Wed)10:21:07 編集
Re:無題
順+ハムっていいコンビですよねぇ。私もこの二人大好きです♪
余談・・・美しき悪魔ですから(笑)
混乱、悩殺、毒、恐慌、ヤケクソなんでもありですwww
さて、ガキさんは結局どうなたのでしょうか(笑)
【2010/03/04 02:31】
こんばんはー!
順平GJと叫ばせてください(笑)。
全バステというか…とっくに魅了は食らってますねw
誰がディスチャーム使おうが解けるもんか、な的なのが。

…そしてバステではないけれど「ステータス:不眠」かなーと。
えふぃー 2010/03/05(Fri)21:58:33 編集
いらっしゃいませ~
何気に空気の読める順平を目指しております(爆)
魅了は標準ステータスですねww
ディスチャームは使うとむしろ火に油になるかもですわ。
ステータス不眠・・・・仕様です!!うふふ
【2010/03/05 23:54】
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