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ここは、「Luftleitbahnen」の別館です。
Fan Fiction Novel-二次創作小説-を置いてあります。
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なんとか後編終了、書きたいものと・・・・微妙に違った結末に(汗)
上手く話し運びがいかなくて、分かり辛いものになってしまいました。
もっともっと精進しなくては。とほほ。
でも、一応最低限ちゃんとダーレスにはなっているということでご容赦を。

∞―――――――――∞ Panorama /2 ∞―――――――――∞ 



まるで水の中から起き上がるような気だるさ。
レスカはそんな感覚に嫌気が差した。

ここ二日、意識はまともな睡眠とは程遠いところばかりを通り過ぎている。

(はぁ・・・なんだかなぁ)

シーツに包まれた自分の身体を確かめるように抱きながら、レスカは一人息を吐いた。
どうにも自分がどこか遠くから自分自身を見ているような、そんな錯覚がしてならなかったからだ。


(それもこれも!って、今更かぁ)

レスカは思い当たる原因を、それに対して出した答えを反芻して苦笑を浮かべた。


もう憤っても仕方の無い事だ。
何より、結局決を下したのは他ならぬ自分ではないか?と


何度も自分に言い聞かせたはずの台詞を再び脳裏に甦らせ、レスカはようやくベットから起き上がった。
眠った記憶は無かったが、窓からは既に陽光が覗き込んでいた。


ドレスを着込み、化粧をし、アララ王国の第一王女としての自分を身に纏う。
そうして部屋を出る直前、レスカはスラリと伸びた左手を見つめ、その指に光るモノを静かに外した。



(・・・・アンタが悪いんだから・・ね・・・)






-----------



レスカは「カフェオレ」としての最上の微笑を男に向けた。


「お返事を・・・致しますわ。」


男は、まるで最後の審判でも受けるように直立不動の姿勢で硬直している。
レスカは、そんな男に素直に好意を感じた。
そして、だからこそ出した自分の答えに真っ直ぐに向き直った。


「私ごときにあのようなお申し出、本当に身に余る光栄です。
正直、とても驚きましたけれど・・・・でも・・・・」


穏やかな微笑み
優しい声
そして・・・自分を見つめる真っ直ぐな瞳

レスカは男が求婚してきた夜に一瞬思いを馳せると、その顔から「カフェオレ」という仮面を外した。

もう、迷いは無かった。


「貴方となら、同じモノを望み、同じ明日を求めていける

共に同じ道を歩いていくことができる・・・・

貴方となら・・・・そう思います。王子」


レスカは、素直に思ったことを口にしていた。
それは「自分」を見つめている男に対する、レスカなりの最大級の敬意だった。



王族なんてものは、所詮搾取する者だ

自分もそうだが、誰でも仮面をつけている

言葉も、態度も、全てが仮面

そんなものだ


そんなものだけど・・・それだけでもない

全てを知ってなお輝くモノがある

建前を超えた所にある真実もある


そして、それを為すのが真の王族


レスカは王族として自分の在るべき姿をそう考えていた。
そして、それは目の前の男と同一だった。

確かに、この男となら同じモノを望める。
王族として、同じように明日のアララ王国を求める事が出来る。
正直そう思った。


だから笑った。

レスカの笑みで。


そして答えた。レスカの答えを。


「ありがとう・・・・・
でも、ごめんなさい。王子。
あたしは我侭なんです。」


「誰よりも我侭だから、だから・・・・
同じモノは欲しくないんです」



いつも思ってた。

いつだって望むものをくれやしないアイツに

いつだって迷惑ばかりかけるアイツに

いつだって理解できないアイツに


・・・・どうしてこんなに惹かれるのかと



王子には悪いと思ったけど、でもそれで分かった
王子に言われた言葉でやっと形のある「答え」になった。
レスカはようやく自覚する事が出来ていた。


それまでわからなかった惹かれる理由に


それは同じモノを見ていないからだった
それは同じモノを望んでいないからだった
それは同じ明日を求めていないからだった



そう、そうなのだ

いつも別のモノを見ていた
いつも別の事を感じていた
いつも別の明日を夢見ていた

だから理解できない
だから喧嘩をする
だから・・・・

惹かれる


そうではないか


レスカは自分の出した答えに笑わずにはいられなかった。
今更のように呆れ果てもした。
そして、その「答え」が思いのほか自分らしいと思った。




レスカは目前で目を見開いた男に、気が重くなった。
嫌いな相手ではない事が余計に心に重圧をかけるが、しかし言葉を止めはしなかった。
そうすること自体が男に対するレスカが決めた返答だったからだ。

「同じモノを望んで、それでどうなります?王子」

「自分一人でも夢見れる世界なら、それは自分で手に入れることが出来ます。」

「私は、自分では見れないモノも見たい、
自分では気付かなかったモノも気付きたい、

そんな違う世界をくれる人と一緒に歩きたいんです」


そう言ってレスカは晴れやかに笑った。
その左手に光る輝きと同等以上の輝きで。





-----------



むっつりとした顔で、荒い息をついた背中越しに静かに扉が閉まった。

「・・・・」

そんな顔にレスカは溜め息をつく。

「で?帰ってきたかと思えば急に何よ」

いきなり乱暴にドアを開けて入ってきたかと思えば、部屋にいた事務官達を睨み付けて追い出したその姿にレスカは呆れていた。
呆れながら、なんとなくその理由も察してはいたが口にはしなかった。

「・・・・」

「用も無いのに仕事の邪魔しに来たわけ?」

相変わらず我関せずと言った顔で言うレスカに、ようやく重い口が開いた。

「・・・・受けたのかよ?」

「何が?」

「・・・・」

再び押し黙って、こちらを睨んでくる顔がレスカには妙に可笑しかった。
そして思い出していた、数ヶ月前の出来事を。

(そう言えば、あの時もこんな顔してたっけ)

基本的にダ・サイダーはここ何回かの公式行事に出席していない。
本来は親衛隊長が不在という事は許されないはずなのだが・・・
それを許可したのは他ならぬレスカだった。

「・・・オマエの営業顔見ててもつまらん」

ただサボると言われて「はいそうですか」などと答えられようはずも無く、再三問い詰めた挙句に返ってきた台詞がこれだった。
憮然とした顔でそんな理由を言ったこの男に、レスカについつい首を立てに振っていた。

(あの時は・・・・笑ったわねぇ・・・ほんと)

そう、この男はいつだって自分の予想の域を遥かに超えてくれるのだ。
レスカはそう思うとついつい頬が緩みそうになるのだった。

そんなレスカの百面相など何処吹く風、我慢大会に最も縁の遠い男は溜まりかねたように声を荒げて叫んだ。

「プロポーズ受けたのかって聞いてんだよ!」

怒っているからなのか、それ以外だからか、顔を耳まで赤くしているダ・サイダーにそれでもレスカはしたり顔だった。

「へぇ、誰から聞いたわけ?まぁいいけどさ。
第一、あたしが受けたかどうかをアンタに言わなきゃいけない義理は無いわよ」

レスカは軽く口の端を持ち上げて、余裕の笑みを浮かべる。
自分でも少し意地悪かとは思ったが、たまにはそれも悪くない。

「むぅ・・・・」


うめきながら走ってきた時の汗ともつかない汗を流している姿に、やっぱり笑いがこぼれる。

(仕方ないわねぇ)

「勿論断ったわよ・・・あぁあ、結構疲れるんだけどなぁ。毎回毎回断るのって」

「むむむ」

ここぞとばかりに反撃をするレスカに、ダ・サイダーはもはや唸り声製造機へと変貌を遂げている。
そんなダ・サイダーにレスカはしょうがないとばかりに苦笑を漏らした。
それから左手にいつも政務中は大事に持ち歩いているソレを嵌め愛しそうに見つめた。

正式に申し込まれたわけではない以上、王族の自分が政務中に身につけることは出来ない。
それでも肌身から離したくなくて、いつも持ち歩いていた。
貰った時からずっと。

「気にするくらいなら・・・って、まぁいいわ、別に期待なん」
「・・・だな」
「え?何か言った?」

何とはなしに上目遣いに見上げて、いつものように皮肉でも言ってやろう、そう思っていたレスカの言葉をダ・サイダーの呟き位の声が遮った。
思わず聞き返したレスカに、今度はダ・サイダーの指がいきなり突きつけられた。

「いいんだな?って言ったんだ!!その代わり、知らねぇからな!覚悟しとけよ!!」

言うが早いか再び耳まで真赤な顔で台風のように部屋を出て行ったその姿に、レスカ呆然としてしまった。

呆然として、そして・・・・声をあげて笑った。

「な、何よアレ!?・・・・っぷ、ぅくく、あっはははははは」

その声は、軽やかに蒼い風を追いかけていった。







違うモノを見てるから
違うモノを望んでいるから

いつだって予想以上のモノをくれる
いつだって望む以上のモノをくれる

どんな宝石よりも価値のある未来を



それは、世界という名のPanorama





追記:
   後日、これが城中を巻き込んだ大騒動を呼ぶ事になるのだが・・・・
   それはまた、別のお話




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