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ここは、「Luftleitbahnen」の別館です。
Fan Fiction Novel-二次創作小説-を置いてあります。
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ようやく翠緑の樹海B5Fです。
やっとキャラが1周しました。

ここで辞めとくのが吉ということで!!
(丁度階層も一段落)

でも、このゲームの不思議な所。
自由度の高さが想像力の高さに繋がっていますね。
なんか、キャラが勝手に動いてますよ(笑)

ま、とりあえず翠緑の迷宮のラストです。
お約束ですが、お好きな方だけご賞味あれw
 

∞―――――――――∞ だから何?   ∞―――――――――∞

 
 人にできることなんて、本当に小さなもの
 だって、そうでしょう? 
 世界はこんなにも広大で
 人はこんなにも卑小なのだから
 


悟ったように微笑みながら、慈悲深さを売りにしている詐欺師のような言葉を口にする。
どっかの誰かの受け売りを、見てきたように鵜呑みにする。


なんて馬鹿馬鹿しいんだろう。

否定してやりたかった。
嘲ってやりたかった。


 でも、それが出来なかった自分に一番腹が立った。


~【B5F】鋭い咆哮に立ち向かう確信(勇気)ある一歩~


初めて迷宮の入り口を潜ったあの日から、すでに一月が経とうとしていた。
地下へ、地下へと探索の足を徐々に広げていた僕たちの前に、ついにそいつは姿を表したのだった。


「スノードリフト」


世界樹の迷宮の中でも「翠緑の樹海」と呼ばれるこの第1階層を、我が物顔で徘徊する狼たちの首領である。

身の丈は他の狼たちより二回りは大きいだろうか。
スノーと言う言葉に相応しい純白の毛並み。
その優雅さとはまるで正反対に血走った巨大な眼窩。
鋭い爪は言うに及ばず、それよりも鋭利で巨大な2本の牙が獲物の血を求めるように鈍い輝きを放っている。

僕は背筋がゾクゾクするのを感じずにはいられなかった。

あぁ、勘違いしないで欲しいな。

怖かったわけじゃないよ。
むしろ楽しみで仕方なかったんだ。
あの毛皮を、あの牙を加工したらどんな素敵なものが出来るのかって想像するとね。
もうそれだけで堪らなかったんだよね。




正直、慢心がなかったとはいえなかった。


今日は準備もしっかり整えていたし、首領とは言っても所詮狼に毛が生えた程度だろうって思っていたから。
(今親父ギャグを思いついたそこの奴。死刑ね)

実際、この辺の狼ごときだったら、全員の一撃でもくれてやれば沈めるのはたやすかった。
もし万が一にも痛手を負うようなことにでもなったら、とりあえず無能な仲間に30日間は無料奉仕をしてもらおうかなんて冗談を言っていたりもしたんだ。
(冗談に聞こえないって視線が後ろから突き刺さるのは気のせいさ)



そうさ、先刻まではそんな冗談を言っていられたんだよね。



「キュア!」


僕の何度目かの回復施術がSirの傷口を癒す。
それでも、決して傷そのものが消えるわけではなかった。

否、キュアでは回復が間に合っていないのが事実だ。


(くそぉ)



僕は内心で舌打ちを連発していた。




作戦そのものは決して失敗したわけではなかった。
いや、そもそも失敗出来る方が酷く難しいと言えるくらいストレートな内容だった。

なにせ、ただ回りの雑魚を掃除して、「スノードリフト」だけ囮を使って奥まで引っ張ってくるだけだったのだから。
あぁ、囮はもちろんスティングだよ。
素早くて、Mっ気あるのなんて奴だけだからね。
(あれ?なんか横を鞭がすべったけど気のせいかな?)


本音を言えば、地味でつまらないとは思ったんだけどね。
(実際そう言ったんだけど、あからさまに反目の視線が来るので溜め息だけにしておいた)

まぁ、仕方ない。
それに僕は実質本位な男だ。
楽してぼろもうけできるならそれでいい、そう思ってたんだよ。



それがどうだろう・・・・・・
蓋を開けてみれば、そこにいたのは僕の知る狼どもとはまるで違う「化け物」だった。


グオオオオォォォォォォォォォォォォォォォ



何度目かになる不快な咆哮が鼓膜を突き破るように脳を揺らす。
その刺激に、何度も自分の立ち位置が揺らぐような感覚に陥る。


(ただの大声ってわけじゃないみたいだね)



「グロリア、お願い」


僕の声が届く前に、すでに彼女は気持ちを落ち着かせる作用のある唄を奏で始めている。

スティングも奴の動きに合わせて牽制の鞭を振いながら、その急所を探っている。


順調な開幕だった。
しかし、僕はこの時点で嫌な予感がしていた。
確かに強敵と戦うときのセオリーに則していた。
Sirが守り、スティングが敵を見極めて攻撃する、グロリアが補佐をして、僕は回復、そしてArkの術式が全てを決める。

それは今までの戦闘経験から来るものだった。

だが、この時の戦闘は一つの鉄則があったのだ。
「短期決戦」である。
こいつとの戦闘が長引けば、必ず他の狼を呼ぶことになる。
一体一体は恐れるに足りないが、それでも数が来れば十分脅威だ。
分かっていたはずだったのに・・・・・


僕らには決定打の攻撃力が不足していたのだ。


 それは仕方の無い事よ


こんな時に、頭の中をそんな言葉が掠めた。


 うるさい


否定する僕の耳に、苦痛のうめきが聞こえる。


「くっ」


Sirの右肩から血が溢れた。
やつの凍てつく牙に噛み千切られたのだ。
回復の施術で傷口を癒す間もなく、Sirは再びPTの先頭で盾を構え必死に白い巨躯を牽制している。

Sirは聖騎士だ。
たとえ次の一撃を受ければ命を落とす可能性があったとしても、決して僕たちの前から動く事は無いだろう。
たとえ屍になろうとその身体で僕たちを守る為にだ。
その後姿を見つめながら、僕の歯がギリギリと軋む。

僕はカバンの中身を再度確認する。
既に主だった薬品は底をつきかけていた。
多分、後僕に出来るのは「キュア」が一度できるかどうかだ。


 どうして世界の広さを認めないの?


まるでどこかで見ているように、嫌味な言葉が甦る。


血の匂いに惹かれ、また己自身も深い手傷を負った忌わしい獣が再びSirに狙いを定めてにじり寄る。
それをスティングの鞭とArkの放った炎が攪乱し、時間を稼いでいる。
グロリアの唄声が、鈍り落ちていく冷静さをなんとか引き戻そうとしている。


 どうして自分の弱さを認めないの?


諭すような笑顔と、慈悲を浮かべた能面を思い出して吐き気がする。

僕は目を閉じる。


Sirの止血したはずの傷口からは、再び血が滲み始めていた。
完全に癒すには、せめてキュアⅡが必要な所だろう。
わかっている。
今キュアを施したところで、次の一撃に耐えられるわけは無い。
分かってはいる。


 ほらね、人に出来る事なんて限られている


白い獣の咆哮がそれと重なって聞こえた。
僕は、ゆっくりと瞼を持ち上げた。



「だから何?」




僕の目は正面から獣を一度見つめると。
ただ一言を呟いた。


「キュア」


本来は血を止められるかさえも危ういはずの施術。
だが、この時の僕の「声」は血を止め、傷口を癒していった。



ギィン



耳障りな衝撃音が辺りに響き、Sirは地に膝をついた。
再び踊りかかってきた獣を弾き返した衝撃に盾が吹き飛んでいく。
しかし、致命傷は負っていない。


僕は安堵の息を漏らすと、右の拳に力をこめた。
既に回復を行う方法は尽きた。


ならば残された手段はたった一つ。


着地した獣の牙に、スティングの鞭が絡みつき、小気味良い音を立ててそれを打ち砕く。


獣がひるみ、苦悶の声を辺りに振りまく。


僕は口の端を持ち上げると、助走をつけてSirの左肩に手をつくと、
それを支柱に身体を宙に躍らせた。



 世界の大きさ?
 人の小ささ?
 違うね、あいつらは理由が欲しかっただけ
 諦めるための
 自分を正当化するためだけの大義名分がさ

 僕はいらない
 そんなもので満たされたりはしない

 欲しいのは、確実な一歩
 自分で踏み出す、「確信」だけ




「だから、落とし前はつけさせてもらうよ!」



僕の体重を目一杯に乗せた獣の骨と牙でできた鈍器は、
うろたえていた白い巨体の頭部に鈍い音を響かせながら沈んでいった。




(それは後に「メディックの脅威」として恐れられるようになる「ヘビィストライク」が生まれた瞬間であったと言われているとかいないとか・・・・)





余談

「じゃぁ、帰ろうか?」

無事にスノードリフトを討伐し、その戦利品を剥ぎ取った仲間たちを見回して僕は言った。
それぞれが黙って頷くのを見て、僕は微笑んだ。


「勿論、今日の分の「採掘」「採集」「伐採」しながらね♪」



僕の笑顔に見とれたのか、口をパクパクさせている仲間達に気を使って僕はさっさと歩き始める。

「カナイ、いくらなんでも無茶じゃないか?・・・それに荷物だって・・」


そういうSirとスティングに僕は再び笑顔で振り向いた。

「大丈夫大丈夫!戦後手当あるんだから、無傷で敵倒せばいいんだよ。
 それに、荷物もちゃんとあけたんだよ。
 うん。

 変わりにアリアドネの糸捨てちゃたしね♪♪」



後ろで大きく鈍い音が何度か聞こえたけど、僕は気にせず一歩足を前に進めた。


(新しい杖が欲しいなぁ・・・もっと、こう・・・刺々しいのがいいよね?♪)
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