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ここは、「Luftleitbahnen」の別館です。
Fan Fiction Novel-二次創作小説-を置いてあります。
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今までで文章的に一番短く、そして支離滅裂です。
私は自分の不満を消化するために文章を書きます。
ですので、本当にお見苦しいものだと思ってます。
ただ、どうしても形にしたかったんです。それだけだと思ってください。
VSで、何故ダーがレスカを置いて旅に出たのか、私なりの結論ということで。
BGM「泣けない夜も、泣かない朝も」By GARNET CROW

∞―――――――――∞ Leave   ∞―――――――――∞

 


ねぇ、想像できた?こんな日が来る事

ねぇ、想像できる?明日からの毎日



それはまるでパンドラの箱


絶望ってのは大袈裟かもしれないけど

でも、信じたいのは希望だから



信じてもいいよね?


その先の未来を



 
-----------


「よぉ」

そう言ってダ・サイダーがレスカの部屋を訪れたのは、すでに0時を回った頃のことだった。
どこか落ち着かないような居心地の悪そうな表情でレスカを見下ろしている。
そんなダ・サイダーの様子もあって、レスカは顔も上げずに素っ気無い答えを返した。

「やっと準備終わったわけ?そんな大層な荷物があるわけでもないのに随分とかかったじゃない」
「ほんと、どうでもいいことにばっかり時間かけてさ。羨ましいったらありゃしないわ。そのあんたの無駄な時間、あたしが有効に使った方が世間様のためなんじゃないの?」

どこから沸いてくるのか、冷たい言葉が次々と切れ目無く口を突く。
その気持ちとは裏腹の台詞に、レスカは自分でも嫌気がさして仕方が無かった。

(ほんと・・・嫌な女よね・・・・こんな時までこんな事しか言えないなんて・・・・・・・・・)



「ご挨拶じゃねぇか。それとも何か?素で酔ってんのか、お前」

雑誌に視線を落としたまま顔も上げずに嫌味を積み重ねるレスカに、ダ・サイダーは少しムットした顔をする。
しかし、その視線が綺麗に磨き上げられた一対のワイングラスと封の開いていないボトルを捉えると、その顔には再びなんともいえないぎこちない表情が浮かぶのだった。
ボトルの底を濡らす雫が、待っていた時の長さを音も無く突きつける。

(・・・・ずっと・・・そうやって待ってたのか?)

相変わらず顔も上げず無言で雑誌を捲るレスカの横に腰をおろすと、ダ・サイダーも無言でボトルに手を伸ばした。


栓を抜く音だけが、静かな室内の空気を振動させる。

「・・・・・ほらよ」

薄紅の液体が揺れるグラスをレスカの前に置いてやりながら、ダ・サイダーはレスカの顔を見る事が出来なかった。


「ん」

ようやく雑誌から顔を上げたレスカだったが、しかしこちらも決してダ・サイダーを見ようとはしなかった。
グラスに伸ばした手が、心なしか震えている。



空気が張り詰めていた。

お互い本当に言いたい事は別にあるのに、それを口にする事が出来なかった。


意地だろうか?それとも怖かったのだろうか?

その両方だったのかもしれない。
何故なら
言葉は、時に恐ろしいほど心を削るから。
言葉は、時に哀しいほど真実を伝えるから。


それでも先に口火を切ったのは、元々考える事も黙っているのも性に合わない男の方だった。

「・・まぁ、なんだ・・・・ちょくちょく顔出すからよ・・・」

それが精一杯の強がりだったのか、本音だったのかは本人にさえ分かっていなかったかもしれない。
いつもらしくない不自然な笑顔で、ダ・サイダーは視線を泳がせたまま呟くようにぽつりと言った。
そんな言葉に、レスカもようやく口を開いた。

「・・・・でよ・・・・」

「あん?」

「顔・・・・見せないでって言ったのよ!!」
「おま・・」
振り向いたダ・サイダーの言葉を、しかしレスカの台詞の続きが堰き止めた。

「あんたの顔なんて見たくないって言ってるのよ!!絶対、絶対帰ってくんじゃないわよ。3年は!」

「言ってくれるじゃねぇかよ!!あぁそうかよ。だったら・・・って3年?なんだよ、それ?」

ついついレスカの売り言葉としか取れない台詞に買い言葉を吐き出したダ・サイダーだったが、その最後の言葉に疑問を返さずにはいられなかった。
レスカはそんな疑問符に、足下をじっと見つめたまま独り言のように呟いた。

「鈍いわね・・・・3年経ったら迎えに来いっていってるのよ・・・」

「・・・女王様もそれで廃業よ・・・・・・ココアには悪いけどさ」


ようやく毒でも吐き出したように溜め息をつくと、初めてレスカはダ・サイダーを見返していた。
その顔に穏やかな笑みを浮かべて。




いつからだったろう?いや、いつでも予想は出来たはずだ。
だって、そういう男だもの。

「旅に出る!」

今まで黙って此処にいた事の方が奇跡といってもいい程だ。

誰よりも束縛が嫌いで、冒険が好きで、自由な男。

縛って鎖で繋いで・・・そんなことは出来ない男。
仕方のない事だ、それをしたらきっとこの男はこの男で無くなる。
それは嫌だ。
それだけは・・・したくなかった。

だから、そう言われた時も承諾するしかなかった。
一国の王となるべき立場として・・・

いつか来る、そう思ってた「いつか」だと思ったから。


そう、どこかで覚悟はしていた。

でも、ショックじゃないとは言い切れなかった。

いつでも傍にいて欲しかった。
いつでも傍にいてくれると願っていた。


それが勝手な幻想だとも知っていた。



あたしは王になる。

誰もがそれを望んでくれた。
誰もがそれを祝福してくれた。

パパも、ママも、ココアも、ミルクも、ラムネスも。

たった一人を除いては・・・・


結局あいつから返ってきたのは、「旅立ち」の言葉だけ。

分かってた。

王になれば、もう前のようにはいかない。
国を開けることは出来ない。

それがどれ程の苦痛か。


でも、それは自分も同じだ。


一緒に居たい。
傍で見て居たい。
あいつの感じる世界を感じていたい。

いつも、いつまでも、その隣で・・・


そして、結局結論した。



王からレスカに還ることを・・・



3年、それはまさにそのために必要な時間に他ならなかった。





(そういうことかよ・・・ったく。いつも勝手に決めやがる・・・)


「・・・・・わかったよ・・・その代わり。後で嫌だとか言っても問答無用で攫ってっちまうからな!覚悟しとけよ!」

ここぞとばかりにニヤリとした笑みを浮かべて、ダ・サイダーもようやくレスカの瞳を正面から見つめる。
グラスの中身よりも暖かい紅に魅せられて、その身体を引き寄せようと手を伸ばす。
しかしその唇に指を立て、静かに首を横に振ったのは他ならぬレスカ自身だった。
その顔にあまりに哀しい笑みを浮かべて。

「お願い・・・キス・・・しないで」

切ないほど静かな声と、哀しいほどの笑顔があまりに儚く、ダ・サイダーはその手を引かずにはいられなかった。
そうしてその笑みの意味を理解すると、ただ静かにその手をグラスに移した。



触れてしまえば(触れちまえば)
抱きしめてしまえば(抱きしめちまえば)
もう離れられない(もう離したくなくなる)

このまま攫っていって欲しくなるから(このまま攫っちまいたくなるから)

だから・・・・


「仕方ねぇから朝まで付き合ってやるよ・・・・」
「それはあたしの台詞よ」


「・・・3年・・・・約束よ(約束だぜ)」






触れないで



でも、傍にいて




箱が開く・・・・その朝まで・・・



 
 
-----------


Leave me




Leave you





But






To be ・・・・・・・





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