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ここは、「Luftleitbahnen」の別館です。
Fan Fiction Novel-二次創作小説-を置いてあります。
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序章Viole版です。(GC版の1stです。1stだけどメインじゃなかった不思議w)
ヴィオレだけは少し視点が違います。ここに出てくる彼女は、まぁ分りますかね(笑)
あまり序章になっていないのはこちらも同じですが、ヴィオレの方が、まだ話の中心に近いです。
とはいっても、これだけじゃぁ何がなんだかさっぱりですよね、はい分ってます。

∽∽∞∽∽∞∽∽∞∽∽∞∽∽∞∽∽∞∽∽∞∽∽ 
一つの始まりがあって、一つの終焉がある。

幾度も繰り返されるそれは、本当に始まりで終わりなのだろうか?

最初から何も始まってはいなかった。

結局は何も終ってなどいなかった。

世界とはそういうものなのかもしれない。

これもそんな世界の一つに過ぎないことなのかもしれない。


・・・これが貴方の望んだ結末ですか?

∽∽∞∽∽∞∽∽∞∽∽∞∽∽∞∽∽∞∽∽∞∽∽ 

SIDE : Viole

「それじゃぁ、お願い」
 彼女はそう告げると、私に一通の封書を差し出した。 真っ白いその封書には宛名さえ書かれてはいなかった。
「今時随分と古風だな。お前らしくもない、いやだからこそお前らしいのか?」
 そんな私の問いとも言えない言葉に、彼女は微笑みながら遠い目をして口を開く。
「そうかもね、それがきっと「私」らしいんだろうね・・・・」
 その言葉が、私へ向けたものでは無いことくらいわかっていた。こんな目をしている時の彼女は、その心も遠くにあるのだと私は知っていたからだ。
 私は何も言わずに彼女が続けるのを待っていた。
 思ったよりも薄い封書を見つめながら、私はまるで彼女の心の中まで透けて見えるようだと思った。

「後悔はしてないつもり、でも、多分未練はあるんだろうね」

 彼女は同じ瞳のまま続けた。
 そんな彼女に私もまた言葉を投げかけた。しかしそれに彼女の答えを求めたわけではなかった。
 ただ、声を出さずには入られなかったのだ。そうしていなければ、目の前の人物が消えてなくなってしまう。彼女と話していると、私はしばしばそんな錯覚に囚われることがあった。特に、こんな瞳をしている時はそうだった。

「変えられなかった事にか?それとも・・・」

 私の問いを聞いてか聞かずか、彼女の言葉は静かに降り積もっていく。
 独り言の様に、子守唄の様に、愛の囁きの様に、呪いの様に。
 そう、きっとその全てだったのだろう。彼女の心は、その全ての感情に満ち、そして虚空だ。

「気付いてしまえば戻れない。ううん、最初から戻るところなんて無かったんだけどね・・・・
私は、最低だなぁ。本当は知っているのに、知らないふりをしていたのかもしれない」
 そういうと、遠い目をしたそのままで、彼女は少し哀しげに顔を歪めた。

 もう動き出してしまった歯車を止めるすべは無い、彼女はそう告げているのだとわかった。確かにそうかもしれなかった、だが・・・・・・・・・・・・・・
 私には答える事は出来なかったし、もちろん彼女がそれを望んでいるわけではない事も知っていた。
 彼女はすでに答えを出しており、私はただ見つめるだけだったのだから。

「ヴィオレはいつまでそうしているの?」

 不意に彼女が私に訪ねてきた。いつもの問いを
「私か?私は・・・そうだな、いつまでこうしているのだろうな。自分でも分らぬ。」
 私もまたいつもと同じ答えを返す。
「そう、そうよね。きっと何も変わらない」
 まるで何かの儀式の様に、同じ問いをし、同じ答えを返す。
 これ以上は何を語っても意味をもたない、それもいつものことだ、それならば・・・・・

「これからどうするのだ?」

 私のこの問いかけに、初めて彼女が「私」を見た。先ほどまでとは違い、存在そのものが変わったかのような目で私を見返し彼女はこう告げてきた。
「ヴィオレがそれを言うの?ふふ。・・・・・・・・・ケリはつけるわ。このまま黙って見過ごすつもりなんて無いもの。全てが思い通りに動くなんて思ったら間違いだっていう事を教えてやるつもりよ。
・・・・・・・・・・・・だから、それお願いね。」
 挑戦的な彼女特有のカラーでその胸中を口にしながら、ふと私の手に視線を落としてそうつけ加えた。手紙のことを言っているのだと思いながらも、私は言外に含まれている意味を考えずにはいられなかった。

 似ている。私はそう思わずにはいられなかった。
 この親子は嫌と言うほど似ている。私のその思いは、我知らず空気を振るわせた。
「・・・・・・・お前は・・・・・・・いや、そうだな、そういうところは父によく似ている。特に詰めが甘いところなどそっくりだ。」
 私のこの唐突な言葉に彼女は苦笑した。
「そりゃそうよ、私を育てたのは父さんだもの。行き着くところも結局はそうなるものってもんじゃない?」
 そう言っていたずらっぽくさえ笑ってみせる、そんな姿がひどく痛々しく写った。
 しかし、それは私の主観であり、きっと彼女自身は幸福なのだろうと思った。彼女の望みは常にたった一つしかなく、彼女自身それを良く知っていたからだ。

 潮時だな。これ以上彼女といても、私にはどうする事も出来ない。
 私は手紙をしまいこむと彼女に別れを告げた。
「依頼は確かに受けた。報酬は次に会う時で構わん。」
 軽く手を上げ彼女に背を向ける。
 次か、また随分と遠い話になりそうだ。自分の言葉に自嘲の笑みが浮かぶ。そんな私に彼女の声が聞こえた。

「私は私のためにしか動かないわ、誰のためでもない、私のためにだけね。」

 まさしく彼女らしい言葉だ。私はそう思った。


 最後の堰が切り落とされれば、後は全てが流れ落ちきるまで止む事は無いだろう。
 運命とはそういうものだ。

 そして私はまた取り残されていくのだろうか、あの時の様に・・・
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