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ここは、「Luftleitbahnen」の別館です。
Fan Fiction Novel-二次創作小説-を置いてあります。
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進藤様への捧げモノ第二弾の本編。
小話 肆の続きみたいなもんです。内容はメインはシリアス。
でも、余談は年齢制限ものとなっております。
てか、この時期にクリスマス話かよ・・・と、まぁいつもの事と思ってください(;´∀`)
※Web掲載に際し、少し文脈を変えてあります。

大人向けな余談は、別にアップさせていただきます。
(閲覧にはパスワードが必要です。
 そちらは本館の記事を確認していただくか、別館の暫定TOPをご覧下さい)

捧げ物用でしたので、本当は別の名前で書かせていただいておりましたが、
自ブログアップに際してハム子を「透流」に変更しております。

あと、元々は縦書き用だったので、Web用にちょっと手直しして有ります。

 

∞―――――――――∞ 聖夜  ∞―――――――――∞




メリークリスマス!!



派手なクラッカーの音と同時に、透流の鮮やかな声が部屋に反響した。

ここは巌戸台分寮の荒垣の自室である。
既に夜も更けており、もう少しで本当の聖夜が訪れるという刻限になっていた。

「楽しかったですね!今日のパーティー♪」
「お前らはしゃぎすぎだ。この寮壊す気か?ったく。
いくら来年には取り壊されるっつったって限度があんだろ。」

軽く透流の頭を小突きながら、しかし荒垣の目はけして怒ってはいなかった。
むしろどこか楽しそうな色を帯びている。

「え~。だって順平が私のミートボールを横取りしようとするんですもん」
「はぁ。ほんっとお前らはガキだな。
アキじゃねぇんだから、肉団子の一つや二つでどうやったらあんな状況になるんだか。
天田の方がよっぽど人間出来てたぞ?」
「ふふ、天田君凄くおいしそうに食べてましたね。ケチャップ味が好きだって言ってましたもん。
まぁ、私たちの方は美鶴先輩が止めに入らなかったら、きっと明日の全国ニュースの見出しになってましたねぇ♪」

思い出したように、嬉しそうに天田のことを口にする透流に、見抜かれていたのかと荒垣の心臓がドクリと音を立てた。
続けてさらりと物騒なことを口にはしているが、その顔に浮かんでいる優しい色は、多分荒垣の心情を察してているからなのだろう。
こういうあたりが心底かなわないと荒垣は常々思っている。
おどけているようで、それでいて本質は見抜いているのだ。
そんな彼女に内心で舌を巻きつつ、荒垣はそれを隠すように苦笑を浮かべた。

「しっかしまぁ、あんだけ作ったのに綺麗さっぱり無くなったな」
「だって、先輩が作った、しかもいつもより豪華さ三倍の料理ですよ!
当たり前じゃないですか!私なんて先月から楽しみにしてたんですもん♪」

あまりにあっけらかんと嬉しいことを言ってくる透流に、荒垣は今度こそ体温が上がるのを感じつつ、それでもなんとか気取られぬように透流の頭をくしゃりと撫でた。

「大袈裟なんだよ。いつでもまた作ってやる。」
「えへへ。聞いちゃいましたからね~~♪」

荒垣の手が動くたびに、幸せそうに透流の顔が綻ぶ。
そんな透流の姿にいつのまにか照れ隠しという単語は消え、荒垣もまた目を細めるとその柔らかな髪の感触を楽しむように彼女の頭を撫で続けた。

ゆっくりとした穏やかな空気。
時の流れを忘れそうになった二人だったが、次の瞬間透流の身体がバネ仕掛けの人形のように飛び上がった。

「って、日付変わっちゃう!変わっちゃいます先輩!」

唐突にあたふたと慌て始めた透流に、荒垣もようやく思い出した。
そういえば、今日は「クリスマスイブ」であると。
さっきまではパーティーだと騒いでいたはずなのに、ついつい二人きりの、しかもこういう穏やかな時間になると時の経過を忘れてしまう。

「メリークリスマス♪ 先輩!」

今日3度目の『言葉』と共に差し出されたのは、緑のリボンが踊る赤い包みだった。
一抱えはありそうなその包みの中を、荒垣はすでに知っていた。
というよりも、リクエストをしたのは荒垣自身だった。
しかし、荒垣の予想に一点だけ反したものがあった。
『大きさ』である。
透流が手にしているそれは、一抱えはありそうだ。

ニコニコと荒垣を見上げる透流に、「開けて良いか?」と問いかければ、全て言い終わらぬ内に、「勿論です」と即答されてしまった。
苦笑を浮かべる荒垣の手が、ガサガサと音を立てて包みの中を暴いていく。
その音だけが響く部屋の中、包装紙と不織紙の間からあらわれたのは、【2本のマフラー】だった。

コクッと小さく喉のなる音が鼓膜を揺らす。
それは目を見張った荒垣を見つめる透流の喉から響くものだった。

「えっと、先輩はどっちがいいですか?」
「どっち・・・って、お前、これは・・・」

透流の問いに、しかし荒垣はうまく答えを返すことが出来なかった。
荒垣が透流にリクエストしたもの。
それは去年彼女が編んでいたマフラーだった。


去年の9月、ふとした折に見かけたのは葡萄茶色のマフラーを編む彼女の姿だった。
そのマフラーが誰のものなのか聴きたくて聴けなかった去年。
しかし、先日それが他の誰でもない、自分のためのものだったと確認することができた時、荒垣は計り知れない幸福感を味わった。
だからこそ頼んだのだ。去年のマフラーが欲しいと。

しかし、包みの中から出て来たそれは2本あり、かつ微妙に記憶の中のマフラーとは違っていた。
1本は記憶と同じ葡萄茶色だが、その両端には去年は見なかった優しい卵色のレールラインが編みこまれていた。
そしてもう1本は地の色は逆に卵色であり、その中に葡萄茶色のラインが同じように編みこまれている。

「先輩は、去年のが良いって言ってくれましたよね。でも・・・
ごめんなさい。私はやっぱり去年のままは嫌だったんです。」

困惑の色を隠せない荒垣を透流はまっすぐに見つめると、意を決したように話し始めた。

「だって、あれは去年の分の私の気持ちです。それも、あの日で止まってしまった。
だから、私はその後の分を入れたかったんです。

またこうして先輩の隣で笑うことが出来る、こんなに幸せなんだっていう自分の気持ちを。

こういうの重いかもしれないって思ったんですけど、だけどどうしても先輩との繋がりを形にしたくって、つい・・・嫌、ですよね?
ホントはお揃いのを創りたかったんですけど、流石にそれだと先輩は恥ずかしがってつけてくれないかなと思って、だから、色違いで、その、お互いの色を足しっ
きゃ・・・ん・・・」

早口でまくし立てていた透流だったが、言ってる途中から急に不安と羞恥がこみ上げてきたのだろう、だんだんと声が小さくなり、ぷつりぷつりと単語が切れはじめたところで、言葉は短い悲鳴に代わり、最後は呑み込まれてしまった。
透流の言葉と、そしてそこに込められた気持ちにいてもたってもいられなくなった荒垣の唇が彼女のそれを奪っていた。
反射的に逃げようとする小柄な頭をしっかりとホールドし、吐く息さえも吸い尽くすように貪ると、彼女の瞳はとろりととろけ、その端からはツゥと一筋の雫が滑り落ちた。

「こいつを貰っていいか?」

長い口付けの後、葡萄茶色のマフラーを手に取りそう尋ねると、透流が嬉しそうに笑みを浮かべる。
「私はこっちをもらってもいいですか?」そうおずおずと問いかけてくる彼女に、当たり前だと笑って応えれば、彼女の笑みはまた一層華やいだものへと移り変わっていくのだった。



今度は、これをつけて二人でどこかに・・・・  


Merry Christmas!!






続きはコチラ
∞―――――――――――――――――――――――∞
マフラー話は、いろんな妄想が出来ますよね。
その一つの形だと思ってください。
ていうか、ハムは器用だよなぁ。羨ましい。
続きは、ギャグ風味な大人向けです。
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