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ここは、「Luftleitbahnen」の別館です。
Fan Fiction Novel-二次創作小説-を置いてあります。
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トリック or トリートな夜をいかがお過ごしで?
こんな夜があったっていいじゃないか!って感じですよね。
うふふふ。

秋の夜長に、遊園地!なんという魅力的なシチュエーションか。
はてさて、みんなはそうなることやらw

さぁ、続きをお楽しみあそばせ!!

acqua様のサイトはこちら -acquaのネタ帳!!


∞―――――――――∞ Halloween Night 02  ∞―――――――――∞

 


入園門をくぐり、案内された場所へと向かう。
仮装して、閉演まで遊べるらしいハロウィンのスペシャルイベントだが、丁度家族連れなど昼間の遊園地を楽しんだ人々が帰る時間帯のすぐ後だったのか、衣装場には沢山の衣装が飾ってあった。

とりあえず荒垣と女子四人は10分後に集合と言う事で、それぞれ更衣室へと消えた。

そして10分後、女性陣は思い思いの格好で現れる。

透流は…エレベーターガール風の衣装で、そのブルーが酷く印象的だった。
誰もが、どこかで見た事があるような気がしたが、その記憶はすぐに心の奥底に沈みこみ消えてしまった。

「ねえ、透流、その衣装って別にお化け関係ないよね?」
「関係ないけど、置いてあったし一度着てみたかったんだ!!」

嬉しそうにくるりと一回転する透流に、アイギスは、不思議そうな目を向けただけだった。

「で、アイギスは…それは何?」
「えーっと、手足が全て覆える衣装がこれしかなかったので…。
魔女の衣装だそうですよ?」

長い三角帽をかぶり、先端が星型になったステッキを持っている。
顔以外の部分が隠されている事で、アイギスの不自然な外観が全て見えなくなっており、コスプレしている美少女という感じだ。

「風花のはあれだよね、ピーターパンに出てくるヤツ!」
「え?うん。ティンカーベル。子供の頃好きだったから着てみたんだけどどうかな」
「可愛いよ!すっごく似合ってる!!」

透流が嬉しそうにそう告げると、風花もはにかみながら嬉しそうに笑った。

「ゆかりさんは、何の衣装なんですか?」
「あー、アタシ?えっと白雪姫…かな」
「子供の頃に絵本で見たのとおんなじ衣装だね。ふふっ ゆかりちゃん、可愛い」
「実は、ちょっと憧れてたんだ、こういうの」

「あっ 先輩!!!」

透流の声に、全員の視線が集まる。

「荒垣さん」
「荒垣先輩…」
「あれ…?」
「先輩、それ」

四人の声が重なる。
全員、驚きのあまりか、呆然と立ち尽くしている。

荒垣が着ていたのは、透流にとっては酷く懐かしく、そして見慣れた衣装だった。

「テオ…の…」

彼女の呟きは小さく、アイギス以外には聴こえていなかった。
その…震える声に、アイギスだけが一瞬、鋭い視線を彼女に走らせたものの、それは直ぐに消えた。

「何だ、透流。お前も案外フツーの衣装だな」
「先輩こそ!」
「仕方ねえだろ。これ以外は何かヒラヒラしたり訳分からん帽子とかついてたからな」

真っ青の、透流が着ている服と対になったようなそれは、まさしくベルベットルームに居たテオドアが着ていたものと同じだった。

透流は、何か不可思議な力が働いているのを感じたが、それは直ぐに消えてしまった。
もう…ベルベットルームはないのだ。
世界が再びペルソナ使いを必要としない限り…そして自分を必要としない限り彼らに逢う事は叶わない。

「とりあえず行くか…。ナイトパレードは18時からだろ?」

歩き出した荒垣の後の横には早速透流が駆け寄り、そして三人が後に続く。

「な、なんて言うか…ペアルックぽい所が…果てしなく恥ずかしいんだけど…」
「わざわざ、仮装でペアルックだものね…結構…視線集めてるし」
「…」
「どうしたの?アイギス?」

黙ったままのアイギスを不審に思ったゆかりが、訊ねると、アイギスは意を決したように顔を上げ、大股で荒垣に近づいた。

「荒垣さん」
「ん?どうした、アイギス」
「ちょっと、お話があります」
「お、おい…!」

ぐいぐいと腕を引っ張られ、荒垣は仕方なくアイギスにしたがって移動する。

「透流さん、直ぐに戻りますから…!!」
「うん、分かった。私達そこでお茶してるから」

アイギスの必死な様子に押されてか、透流は手を振り、二人を見送った。
三人の姿がカフェに消えるのを見計らい、アイギスは歩みを止める。

「で、何だ一体」
「荒垣さんは…テオ…という人かモノかをご存知ですか」
「…お前、どこでその名前…」

驚いたように目を見開く荒垣に、アイギスは確信した。

「荒垣さん…!! 彼女をちゃんと掴まえて置いてくれないと困ります…!!」
「………は?」

突拍子もないアイギスの叫びに、たっぷり10秒程沈黙した荒垣は、何とも間抜けに訊き返した。


「…アイツが…」

近くのベンチに陣取り、荒垣はアイギスの話を聴き終わると、ぽつりとそう呟いた。

テオドア
ベルベットルームの住人
…彼女を愛する狭間の存在

荒垣が知るのはそれくらいだ。

「そうか、そういう事…か」
「ご存じなんですか?荒垣さん…」
「直接は知らねえ。
…お前も知ってる通り、透流は俺達の中で唯一、ペルソナを付け替えられる。
それこそ、まるで仮面を着けるみてえに。
お前、アイツが新しいペルソナをどうやって調達してるか聞いたことあるか?」
「え?ええ…確かベルベットルームとか…ですが、そんな場所はどこにも…」

眉を顰め、アイギスは怪訝そうな表情を荒垣に向けて来た。
荒垣にはアイギスの困惑が良く…分かる。
何故なら、荒垣自身…信じては居なかったからだ。

けれど、他にどうにも説明がつかないのだ。

「アイツから聞いた話をうのみにするのはどうかとも思ったが、説明がつかないし、アイツがわざわざありもしねえもの持ち出してまで嘘を吐く必要性もねえから、俺は信じる事にした。
ベルベットルームで、彼女が新しいペルソナを得る手助けをしていた存在。
アイツを…多分、愛してるんだろう存在。
今は、どこにいるのかアイツにも分からない。
ニュクスが消えて、世界がペルソナ使いを必要としなくなった今、ベルベットルームは存在しない。
…アイツにも、もちろん俺達にも」

静かな声で、まるで自分に言い聞かせるように言葉を紡ぐ荒垣に、アイギスは自分の胸が痛むのを感じた。
何故、胸が痛むのか。

荒垣への嫉妬ではない。
どちらかというと…、荒垣への同情に近い気がする。
なぜ…そんな風に思うのか…彼女は自分でも理解できないその感情に、困惑していた。

「彼女も…透流さんも、そのテオドア…という人を愛しているのでしょうか」
「さあな。嫌いじゃねえだろ。自分の為に尽くしてくれた相手だ」

すっと音も立てず、アイギスは立ち上がった。
そして荒垣の腕をむんず、と掴むとひっぱるようにして立ち上がらせる。

「ともかく、彼女に寂しい顔をさせるのは本意ではありません。
したがって、荒垣さんにはパレードまで、彼女とべったりラブラブで過ごしていただきます」
「…はぁ?」
「先ほど、皆さんが着替えている間に、園内の地図およびアトラクションは全て把握済みです!
透流さんは、荒垣さんと二人で行きたい場所があるとの事でしたので、好きなだけ二人でいちゃいちゃしやがれ!作戦です」
「…意味不明だな…」

いよいよ流れがおかしくなってきたと、荒垣は内心深いため息を吐く。
そして、何故か嫌な予感だけが膨れ上がって行くのを覚えた。

荒垣の手を強引に引きながら、アイギスは彼女が待っていると話していたカフェへとずんずんと歩いて行く。
大人しく腕を引かれながら歩く荒垣は、自分が身につけている、青い服が、急に重みを増した様な気が…した。

そして5分後、荒垣と透流は暗闇の中を歩いていた。

「何でこんな事になっちまったんだか…」
「…ごめんなさい」
「お前が謝るこっちゃねえだろ」

荒垣と彼女は今、何故かお化け屋敷の中を二人で歩いている。
アイギスに、カップルはお化け屋敷で親密になるという遊園地の法則が…などと丸めこまれ、押し込まれてしまったのだ。
無論、ゆかりは全力で拒否したし、風花は他に乗りたいものあるらしかった。

アイギスは、透流と荒垣の二人で行動させたがっていた為か、ゆかりと風花と一緒に別のアトラクションへ行ってしまった。

「とはいえ、まさかお化け屋敷たぁな」
「…苦手ですか?」
「まあな。苦手だな、どっちかっつーと」

素直に、そう口にする荒垣を透流は意外そうに見上げて来た。

「…なんだよ」
「お化け屋敷が苦手なのも意外でしたけど、苦手だってそう素直に肯定されたのも意外というか…」
「俺だって苦手なモンくれぇある。別に意外でも何でもねえだろうが」

腕を巻きつかせた彼女を見下ろしている荒垣は、バツが悪かったのか、ふいを顔を背けてしまった。
その仕草が、どこかコドモみたいで彼女は可愛い、と思ったのだが、口に出すとまた拗ねてしまうかもしれないからと心の中でそっと呟いた。

二人して、暗がりを進む。
ここのお化け屋敷は結構手が込んでいるという評判だが、タルタロスという奇妙な空間を幾度も探索した二人にとって、その暗さは大したことはない。
ただ、明らかな敵意でもって二人を迎えていたシャドウとは違い、ここでは飽くまでも驚かせて怖がらせるために様々な仕掛けが施され、時には生身の人間が現れる。

喧嘩慣れし、不意に襲われても身体が反応してしまう荒垣にとって、ここはストレスの場以外のなにものでもない。
何かが動いてもそれは敵ではないし、万が一人間に襲われてもそれは怖がらせるためであって、決して喧嘩をふっかけられてる為ではない。
ぼんやりしていると、背後に気配を感じた時点で手なり足なりが出そうになる。

これが、見知った気配なら問題はないのだ。
あるいは、学校でなら。

暗がりでは、自分の感覚だけが頼りだ。
ペルソナ使いだからなのか、制御剤の影響なのか、それとも裏路地で喧嘩三昧の日々を送っていたからなのかは分からないが、とにかく灯りのない場所では荒垣は尋常じゃなく気配に敏感になっていた。

透流は、一緒に暗がりを進む内に、荒垣が何故お化け屋敷が苦手なのかうすうすと気付き始めていたのだが、自分も一緒に居るのだし、いざとなれば止められるだろうと思っていた。

二人は、あまりにも異質の空間に慣れており、そしてこう言った場にあまりにも縁がなかった。
だから闇が少しずつ何かに侵されて行くのに気付くのが遅れたのだ。

その部屋に足を踏み入れた瞬間、荒垣は背後を振り返った。

「先輩?」
「…やられた」

荒垣の声に緊張を読み取った透流が振り返った時、そこに今自分達が潜って来た筈の扉がなかった。



∞――――――――――――――――――――――――∞
コスプレ!q(≧∇≦*)(*≧∇≦)pコスプレ!
青いガキさんを想像してみてゴロゴロする簡単で悶えるお仕事
つい、怪しい人のようにハァハァしてしまいましたわ。
皆さまも、周りに気をつけて続きをお読みくださいね!
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