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ここは、「Luftleitbahnen」の別館です。
Fan Fiction Novel-二次創作小説-を置いてあります。
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それはお菓子をあげなかった為に起こった神の悪戯なのか。
はてさて、物語は意外な展開へ!!

二人の先に待っていたのは何なのでしょうか。
緊迫の展開をどうぞお楽しみアレ!!

まさかのあの人登場!?
(てか、この次回予告みたいなのは・・・読む人にじゃま?汗)

acqua様のサイトはこちら -acquaのネタ帳!!


∞―――――――――∞ Halloween Night 03  ∞―――――――――∞

 

二人は、ゆっくりと顔を見合わせ、そして周囲の気配を探る。

「音が…しませんね」
「…しねえな」

墨を零したように、ねっとりと絡みつく闇。
離れたら最後、たやすく相手を見失ってしまいそうなその空間。

「さぁて、どっちに進む?」
「荒垣先輩、どうして私に訊くんですか…」
「経験上」
「…そんな事言って…」

透流は軽く息を吐く。
タルタロスならいざ知らず、こんな場所で自分の勘を信じないでほしいと、彼女は思ったのだが、反論したところで言いくるめられるのは分かっている。

ここはひとつ、慎重に進むしかない。
そう…透流は判断した。

「とりあえず…行きます」
「おう」

手をしっかりと繋ぎ、透流はゆっくりと足を進める。
しっかと目を見開き、前方を注視しながら。

一方の荒垣は、背後と両サイドを探る。
透流が背中を安心して預けられるよう、タルタロスでやっていたのと同じ様に。
前方からの攻撃なら、透流は大抵の場合対処できる。
だから、彼女の背中は荒垣が守る。
それが彼らのやり方だった。

ゆっくりと歩きながら、透流は不可思議な感覚を覚えていた。
懐かしいような、それでいて切ないような。

ふと、立ち止る。

「どうした?」
「先輩…、ここは…」

突然、闇が裂け、星が降ってきた。
いや…星が降ってきたように見えただけで、実際には彼らが移動したのだ。瞬時に。

気付けば、二人は星の海の中に立っていた。
懐かしい場所だった。

沢山の命が、瞬く…心の海へと通じる場所だ。

「また…ここかよ」

心底嫌そうに荒垣が呟く。
彼女が命の答えに辿り着いた果てにある場所。

ニュクスは封じられたというのに。
全ては守られているというのに。

二度と訪れる筈のなかった場所に、二人は居る。

「おや…、お客人とは珍しい…」

涼やかな声に、振り返るとそこには彼女にとって懐かしい顔があった。

「テオ!!」

荒垣は、彼女の顔が喜びに彩られるのを複雑な想いで見つめていた。
目の前に在る、その存在こそ…彼女が稀有のペルソナ能力を存分に振るう為に世界が用意した助力だ。

「これは透流さま、お久しぶりでございます。…そしてそちらは荒垣様…でいらっしゃいますね」

テオドアは、値踏みするような視線を荒垣に向けた。
荒垣が真っ向からその視線を受け止めると、テオドアは薄く笑った。

「これは、失礼いたしました。
透流さまの心を、その存在を世界に縫いとめた方は一体どのような存在なのかと…。
貴方は、その強靭な意志とそして内に秘めたる葛藤を糧に透流さまを救済された。
そして同時に貴方自身も…成る程。世界が贄として求めたのも道理」
「テオ…」
「透流さまと荒垣様がこちらへ迷い込んだのは、その服に染み込んだ気配のせいでございましょう。
何故、その服をお召しに?」

軽く首を傾げるようにして訊ねてくるテオドアの瞳には純粋に好奇心だけが宿っているように見える。
成る程、狭間の世界にしか居場所がないということは、その世界以外の事は分からないという事なのかと荒垣は感じた。

「あ、これはね。遊園地のハロウィン期間のサービスなの。
ハロウィンはね…」
「存じ上げておりますよ、透流さま。
子供たちが仮装をして、近隣の家を襲い、食料を強奪する習わしと…」
「…襲わないし、強奪しないよ…それじゃ犯罪だから」
「…ち、違うのですか!? くっ またしても姉上に騙されたと言うのか…」

拳を握りしめ、肩を震わせて悔しがるテオドアに、透流は苦笑し、荒垣は肩をすくめた。

「まあ、お菓子をくれなきゃいたずらするぞ!って言いながら、子供たちがお家をまわってお菓子をもらうみたいだけど…。
それでね、お化けの仮装をするらしいの。
遊園地のイベントだから、コドモだけじゃなくて大人も仮装して楽しもうっていう企画なんだよ」
「成る程…しかし…何故私どもの衣装がそちらの世界に流出してしまったのか…」
「分からないけど…、これも心の問題かもしれないね。
ハロウィンに欠かせないジャックランタンも私のペルソナの一つだし…。
きっと、仮装することで、何かそういう存在との垣根が低くなるのかもしれないよ?」

ハロウィンの魔法かな。

透流は、くすくすと笑う。

この世界では何が起こっても不思議ではない。
ましてや、誰もがお化けに仮装し、非日常を楽しんでいるハロウィン、そして場所そのものが非日常の為に在る遊園地。
いたるところに、かの場所への入り口はある。

そういう事だ。

「はァ…、それは良いとして…俺はとっとと元の場所に戻りてぇんだがな」
「ふむ」

荒垣の言葉を受け、テオドアは顎に手をあてて首を僅かに傾げると、そのまま考え込んでしまった。

「あれ?どうしたの?テオ」
「彼の地へと通じていたベルベットルームのドアは閉じて久しいので、貴女方をどうやって元の場所に移動させればいいのか…」
「行きはよいよい帰りは…ってか」

テオドアの言葉に、荒垣はため息を吐いた。

「元居た場所へは戻れないの?」
「そうですね…貴女が来たと思われる座標は分かります。ですが、私の力ではその座標に正確につなげられるかどうか…」

実に不安げなテオドアの声に、荒垣と透流は顔を見合わせる。

「近くまで行ければ何とでもなるだろ」
「水の中とか空中とかじゃなければ…一応何とかなりますよね…多分」

不安はあれど、迷っていても仕方がない。
二人ではどうやって戻ればいいのかもわからないのだから。

「テオ、お願い」
「承知いたしました」

恭しく頭を垂れたテオドアが、顔を上げて腕を振ると二人の目の前に巨大なドアが出現した。
モナドへ続くドアに酷似したそれに、荒垣が嫌そうな表情を浮かべた。

「…嫌な予感しかしねえんだが」
「他に道はなし、ですよ先輩! じゃあテオ、私達行くね!」
「お気を付けて…ごきげんよう」

再び頭を垂れるテオドアを残し、透流と荒垣は扉の向こうへと消えた。
二人が、扉を閉めると、テオドアの目の前でそれは消失した。

テオドアは、二人が消えた場所をしばらくの間見つめていたが、やがてその姿はゆらりと揺れ、星の海へと還って行った。


「ドアのこっちは真っ暗闇たぁな…」
「さっきのお化け屋敷の中かどうかも分かりませんね…」

二人して、暗闇の中で立ち止る。

その途端、足元に在った筈の硬い感触が消え、二人は宙に投げ出された。
咄嗟に荒垣が彼女の腕を掴み、抱きかかえたものの落ちる速度は加速度的に増して行く。

荒垣が目を開くと、遠くに月が見え、そして星が瞬いていた。
そして、自分達が落ちていく先には、真っ暗な中に浮かび上がる派手な照明。

二人は、遊園地の遥か上空に投げ出されていた。

「空中は困るつったろうが…」

腕の中の彼女に目を向けると、ぐったりとして動かない。
恐らく、投げ出された衝撃で気を失ったのだろう。

荒垣が不在の間、彼女は自分の事を誰にも守らせる事はなかった。
透流は恐ろしく強かった。
しかし、荒垣がそばに居ると彼女はあっさりその鎧を武器を捨て去る。
自分を守らせる事、そして甘える事が、彼女にとって愛情表現の一つでもあるのだ。

一人ならば、恐らく透流は何が起こっても目を見開き、最後まで足掻くのだろうが、荒垣がそばにいる安心感からか、やすやすと意識を手放したらしい。

荒垣は、腕の中の愛おしい女を見つめる。
その間にも加速しつつ、二人は落ちていく。

あまりの速さに、息をするのも辛い。

「冗談じゃねえぞ、おい…座標違いにも程がある」

荒垣は、告げる。
それは、今の状況には似つかわしくない程に、冷静だった。

そして、荒垣は感じる。
彼女を抱き留めていない方の手に、ずしりと重く、馴染んだものが確かに在るのを。

「…来い!カストール!!!」

荒垣は、迷うことなく引き金を引く。
空に青白い閃光が走り、雷鳴が轟いた。



∞――――――――――――――――――――――――∞
まさかのテオ登場でキャァキャァするmiyaです。
そういえば、先輩とは初対面になるんですよね。
でも、同じ服着てたらwwwwいや、そこはおいて置きましょう。
何気に相変わらずだまされてるテオが可愛い!
さてさて、無事に二人は帰れるか!次でラストです!
 
 
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