最初は拍手御礼用にでもと思って書いてたんですが、
なんか長くなったので普通にあげちゃいます。
てかギャグ。
うん、ギャグ。
ギャグはほんと勢いっすねwww
なんか長くなったので普通にあげちゃいます。
てかギャグ。
うん、ギャグ。
ギャグはほんと勢いっすねwww
∞―――――――――∞ 小話 壱 ∞―――――――――∞
キュロロロロロロ
そんな奇妙な音が聞こえてきたのは、荒垣が丁度階段を降りきった時だった。
(んだァ?・・・鳥でも入ってきたのか?)
欠伸を噛み殺しながら、ぼんやりとラウンジの方を眺めて見るが、それらしき物影どころか人影さえ見当たらない。
(・・・ま、当然か。)
時刻は既に昼を回っており、しかも折角の台風一過の連休だ。皆出かけていてもおかしくはないだろう。
そんな事を考えながら、キッチンへと足を向けたかけた時、ラウンジの方から気配を察したのかコロマルがこちらに走ってきた。
「ワン!」
パタパタと尻尾を振ったまま、チョコンと荒垣の足元に行儀良く腰を下ろす。色素の薄い瞳が、期待に満ちた色を浮かべて荒垣を見上げた。
その愛らしい姿に、荒垣は目を細めて膝を落とすと、ゆっくりと毛並みを梳いてやる。
神社に一匹でいた頃より、大分柔らかくなった毛並み。それは皆から愛されている証拠に思えて、荒垣の目は我知らず一層穏やかなものへと変わっていく。・・・っと。
キュロロロロロロ
再び荒垣の耳に先程と同じ怪奇音が飛び込んできた。
瞬間、それまでうっとりと身体を寄せてきていたコロマルがビクリと跳ねる。見れば、その耳は下がり、尻尾も動きを止めてしまっている。先ほどまでの生き生きした瞳が、今度は困ったように荒垣を見上げた。
「クーーーン」
「さっきも聞こえたな・・・・何かいやがんのか?コロちゃん」
荒垣が問えば、コロマルはその視線をラウンジの方へと向けた。ここからは見えないが、どうやらそこに何かがあるらしい。
特に興味があったわけでは無いが、コロマルのそんな表情を見て放っておく事も出来ず、荒垣はソファへと足を向けた。
果たして・・・・
其処にはもう秋だと言うのに、今にも腐乱しそうなS.E.E.Sのリーダーらしきものが転がっていた。
キュロロロロロロ
「・・・・・・・。」
怪奇音を発するソレに、荒垣は頭が痛くなる。
仮にも年頃の少女である。それが、真昼間から寮のラウンジで腐っているとはいかがなものなのだろうか・・・・
荒垣はため息をつくと、そのリーダーだったであろうモノを見下ろした。
「・・・・・おい、常磐・・・?」
恐る恐る声をかけてみれば、うつ伏せに横たわっていたソレの、頭らしき部分が「グルン」と回転する。そこから現れた虚ろな瞳が荒垣の姿を映し出す。端から見れば、中々にホラー映画もびっくりといった様相である。
「・・せん・・ぱい?・・・うぅぅ。聞いてくださ~~~~い」
中の人(?)物が荒垣の姿を認識したからか、虚ろだった瞳が急速に焦点を結ぶと、今度は途端にうるうると滲み始めた。
その姿に、荒垣は内心苦笑を浮かべていた。どうしたら、こんなに表情(と言えば良いのか悪いのか)豊かでいられるのだろうかと。
「わぁった。・・・聞いてやっからとりあえず人型しとけ。コロが怯えてんだろうが」
そうたしなめれば、荒垣の背後から尻尾を丸めて見ていたコロマルが「ワフ」っと同意の意を示す。
その様子にか、それとも荒垣の一言にか、ようやくソファの上のモノが「あぅあぅ」と言いながら起き上がった。
触れれば、また崩れてしまうのではないかと思えるほどに不安定にフニフニうごうごしているそれが、なんだか妙に愛らしい。そんな事を瞬間でも考えてしまった自分に、おいおいと突っ込みをいれていると。
キュロロロロロロロ
再び透流からあの怪奇音が聞こえてきた。
それでようやく荒垣は合点がいった。その音の正体に気がついたのだ。
「お前・・・・なんでメシ食ってねえんだ?」
透流のお腹が上げる叫びに、それが人間の発する音かと言う疑問を心の引き出しにしまいながら、荒垣はそれ以上の疑問を優先していた。
荒垣からしてみれば、透流が空腹のまま腐っているという事態は未だかつて経験したことのないものだったからだ。
「ご飯どころじゃないんです・・・・・あぅぅぅぅぅ」
瞳を潤ませ、口をへの字にして返してきた彼女の答えは、さらに荒垣に衝撃を与えた。
「ご飯=幸せ」と言ってはばからない透流が、その「ご飯」を食べれないのではなく、自分から食べていないと言うのである。
その真田が牛丼とプロテイン以外の食べ物の名前を口に出す位の非常事態に、荒垣は至極真剣な目で彼女に問いかければ、またまた思いもよらぬ言葉が返ってくるのだった。
「ゆかりが・・・ゆかりがおやつ禁止って言うんです~~~~」
「は?」
今しも泣き出しそうになる彼女に、荒垣の思考は一瞬で止まった。
あまりの非常事態に、自分の耳がおかしくなったのだろうか。間違いでなければ、「おやつ禁止」としか聞こえなかったはずだ。
そう自問する荒垣の耳に、再び彼女が悲痛な叫びをあげるのだった。
「だから、おやつ禁止なんです~~。うわぁぁぁぁぁん」
その叫びと文脈の繋がりが全く理解できず、荒垣は困惑の表情を浮かべる。
そんな荒垣に気づいたのか、それともただ言いたかったのか、彼女は事の次第を語り始めた・・・
それはそれで、実に反応の困る内容だった。
遡れば、昨日の話だった。
昨夜、S.E.E.Sのメンバーはタルタロスの攻略に挑んでいた。
それというのも、前日まで風邪でダウンしていた透流が「快気祝いだ!」と張り切って出かけたからだった。
自分で自分の「快気祝い」とはいかにと言う疑問は、もはや相手が透流であるという事で誰も突っ込みはしなかったのだが・・・
その「快気祝い」と称した攻略に出てきたのが、何故か一揃えの「メイド」服だったのには流石のメンバーも唖然茫然と言う顔をしていた。
男共が執事服もどきを着せられているのは、それ以前からだったのでもう諦めてはいたが(というか、荒垣が入った時点で有無を言わさず渡され、あまつさえ既に他のメンツが着ていたので仕方ないと思ったという事実はここで言うだけ野暮と思っておく)一体どこから仕入れてきたのか、女性陣全員分の「メイド」服をホクホクと渡して回る透流に、さすがの荒垣も言葉もなかった。
というか、透流の行動に真正面から突っ込みを入れるのは、正直無駄な気がし始めていた。
きっと、同じ事を思ったのだろう、ほぼ全員が諦め顔で装備を変える中、岳羽だけが最後まで透流に食いついていたのは荒垣の記憶にも新しい。だが、それもそうだろう。それこそ月光祭の話の段階からして、岳羽がひどく「メイド」服を着ることを嫌がっていたのは荒垣の耳にさえ聞こえていた。それを押して着せようというのだから、実に豪胆な根性の持ち主である。
「ゆかりったら、メイド服着るなら、代わりに私のおやつ禁止って言うんですよ!!ひどいですよね!!」
「あ~~~。いや・・・なんつぅか・・・」
むしろ岳羽に同意したいと内心で呟いていたりする荒垣の言葉をよそに、彼女は興奮したように続ける。
「だって、先輩だって見たかったですよね!!メイド戦隊!!!!」
いつのまにか、腐っていたはずの目をキラキラとさせて、実に楽しそうに同意を求めてくる彼女に荒垣は返す言葉が見つからない。そもそもメイド戦隊という単語が理解できない。
「順平が言ってたんですよ、メイドは男のロマンだって・・・。そうですよねぇ。執事が女のロマンなら、やっぱりメイドは男のロマンですよね!!うんうん」
何の疑問もないというよりは、むしろ確信を持って言う彼女にすでに自分の存在は見えていないのではないかと思う。そんな彼女に、戻って来いと思いながら、同時にその突っ走りぶりに荒垣の相好が崩れそうになる。
「じゃぁいいじゃねぇか。納得して約束したんだろ?」
「はぅ・・・・そう・・ですよね・・・うぅぅぅぅ」
なんとか感情を出さないように、軽く頭を叩きながら問うてみれば、途端思い出したように急転直下していく彼女。その喜怒哀楽の百面相に、荒垣は結局笑いを堪える事が出来なかった。
「あ、先輩何笑ってるんですか~~。こっちは切実なのにぃ」
至極まじめに言う彼女に、荒垣はもう笑みを隠さぬまま優しく彼女の頭を撫でた。
「お前は見てて飽きねぇな。」
「う~~~。先輩、なんか馬鹿にしてませんか?・・・って、あぅぅぅ」
不貞腐れたように見上げてきた彼女から、再び空腹の悲鳴が上がる。
「大体、おやつ禁止で何でメシまで食ってねぇんだよ」
その悲鳴に呆れたように呟けば、透流の目がキッと荒垣を睨み据えた。
「先輩!!女子高生にとっておやつがどれだけ重要か知らないんですか!!おやつが食べれないって事は、ご飯が喉を通らないってことなんですよ!!アイスの無いコンビニみたいなモノですよ!!」
「意味・・・わかんねぇ」
信じられないといった表情でこちらを見てくる彼女に、荒垣は文字通りの表情を浮かべる。
彼女の言うジョシコウセイとは自分の認識の範囲のものとはどうも違うらしい。
まぁ、透流曰くの段階で、それが標準かは甚だ怪しいのだが・・・
「そんなに食いたきゃ、見つかんないように食っちまえばいいじゃねぇか。ずっと岳羽が見てるってわけでもねぇだろ?」
「!!!・・・・・先輩・・・なんて黒い!!」
考えもしなかった!っと正に顔に書いたような表情で言う彼女に、荒垣は再び吹き出していた。
「くくっ・・はははっ。そうだな、お前はそういう奴だよな・・・・・・・
あぁ・・・そのままでいろよ。お前はそのまま笑ったり、怒ったりしてるのがいい。」
「先輩?なんかそれってやっぱり私のこと馬鹿だって言ってるようにしか聞こえないんですけど」
荒垣の台詞に、腑に落ちないぞ!と口を尖らせる透流に、穏やかな視線を向ければ、透流もまたふにふにと諦めたような、照れたような表情を浮かべた。
「んじゃ大人しくしてるしかねぇなぁ、約束は破れねぇんだろ?」
「は・・・い・・・・」
荒垣がわざと意地悪く言えば、透流は耳のたれた子犬のようにうな垂れてしまう。
荒垣からしてみれば、本当にどうでもいいような内容の事なのに、目の前の人物はいつだって何にだってそれが全てのように映るのだろう。そんな真っ直ぐな存在が、荒垣にはなんとも羨ましく、そして何より眩しく見えた。
それが、彼女なのだと。
「あぁ、そうだ・・・んじゃ暇なんだろ?ちょっと付き合え」
「はい?」
「試してみてぇレシピがあったんだ・・・お前、味見役やれ」
「味見・・・味見!!はい!はいはい!!!」
ニヤリと口角を上げて横目で見れば、どんよりと煙っていた透流の周りが途端精彩を放ちだす。
「返事は一度でいい」
「はい!」
「ワン!」
いつのまにか足元で「自分も居るぞ!」と主張するように声を上げたコロマルに、お互い驚いたように眼を見張れば、自然優しい笑顔が浮かぶのだった。
「そうだね、コロちゃんも食べたいよね」
「仕方ねえなぁ、コロにも何か作ってやろうな」
「ワンワン!!」
・・・それはちょっとした、麗らかな午後のお話
余談
「先輩、新しいレシピって何作るんですか?」
ワクワクと書いてありそうな目で見上げてくる彼女に、荒垣は「そうだなぁ」と答えながらあれこれと考える。
こいつの好きなのはプリンだったか、でもアキはホットケーキが好きだったな・・・あぁ、天田は何がいいのだろう。
頭に浮かぶ顔の分だけ作ろうかとさえ思い始めた荒垣を、彼女が上目遣いに覗き込んできた。
「ん?何かリクエストあんのか?」
「えっと・・・一度食べてみたいものがあるんです・・・駄目ですか?」
おずおずと口を開きながら、恥かしそうに俯いていく彼女に荒垣は無意識に手が伸びそうになる。
「あ?・・・まぁ、モノによるな。何だ?」
そんな自分に気がついて、あわてて気を紛らわすように問うてみれば、返ってきたのは彼女らしい・・・と言えばいいのだろうか、もう何度目になる予想外・・・というか予想内でありながら、それを突き破った答えだった。
「バケツでプリンが食べたいです!!!」
「・・・・はぁ?なんつった??」
プリンという単語は良しとして、その前になんか聞きなれないというか、今ここで出てくるべきかと言いたくなる単語がついてはいなかっただろうか。荒垣は反射的にその疑問を返していた。
「バケツでプリンですよ!!むしろ、バケツ DE プリン・・・・それは全プリニストの憧れ・・・・」
荒垣の疑問詞はすでに聞こえていないのだろう。何故か巻き舌調で言い直しながら、透流は再び別世界にトリップしてしまっている。
今日何度目かの「帰って来い」的突込みを入れながら、荒垣はその可愛らしい我侭(?)への戦略を真面目に練り始めるのだった。
「えへへ、先輩もやってみたくないですか?
・・・(,ΦДΦ)デストローイ!!て」
「お前って・・・ほんとわっかんねーよな。」
苦笑とも、微笑ともつかない表情を浮かべながら、荒垣は透流を伴いキッチンへと向かうのだった。
(さあて、いかにこの難題にいどもううか・・・・)
∞――――――――――――――――――――――――∞
うちのハム子はギャグだと人外らしい。
まぁ良くある事ですよねw
うちのハム子はギャグだと人外らしい。
まぁ良くある事ですよねw