進藤様への捧げモノ第二弾として書かせて頂きました。
(勘違いしてて、前は第一弾と書いてました、すみません)
クリスマス!ということで・・・・甘いラブい話のはずが・・・
どこで間違ったのか、ギャグです(汗)
ちなみに、この後に続く本編とお正月話があります。
ありますが・・・それはまた来年www
え?イベント過ぎてる??HAHAHAHAHAHA気にしちゃだめだぜ!
(↑爆発しろ)
一応捧げ物用ということで、本当は別の名前で書かせていただいておりましたが、
自ブログアップに際してハム子を「透流」に変更しております。
あと、元々は縦書き用だったので、Web用にちょっと手直しして有ります。
∞―――――――――∞ 小話 肆 (聖夜) ∞―――――――――∞
☆和布のストラップ
★ウサギのあみぐるみ
☆フェルトのバッグ
★手編みのマフラー
☆トリュフチョコ
★スィートポテト
☆さくさくクッキー
★バナナカップケーキ
バーン
そんな効果音が聞こえてきそうな勢いで机の上に広げられたレポート用紙に、荒垣は動きが止まった。
広げられた紙と、とても得意満面な顔で胸を張っている透流にどうしたものかと視線を交互に動かすが、結局は息をつくことしか思いつかなかった。
「さぁ!先輩選んでください!」
「選ぶって・・・この中からか?」
「そうですよ!私の愛情プレゼントリストです♪」
更に胸をのけぞらせ、「えっへん」とでも言いそうな体制で透流が息を弾ませる。
なんとなく頭が痛くなるのはどうしてだろう。
哀しくなるのはどうしてだろう。
そんなことをぼんやりと頭の片隅に漂わせたまま、荒垣は微妙にうつろな視線を紙へと向けた。
どこかで見たような、いや、なんか去年何度か目撃したものが書き連ねられたその紙に。
「去年、山岸と作ってたな。クッキー」
「そうそう!よく覚えてますね!先輩。
いやぁ、あの時は風花が***を入れちゃって大変だったんですよぉ。」
そんな大変なものがリストに入っているのは何故ですか?つい敬語で尋ねたくなる衝動を抑えたまま、荒垣は続けた。
「バナナカップケーキか。岳羽と桐条が絶賛してたな。
なんでも・・・・屋久島のバナナでつくるのがコツだとか」
「そうそう!そうなんですよ!
バナナは国内産!それも屋久島に限りますね♪」
つまり、これを選んだらオマエは屋久島にバナナをとりにいくつもりか!?そう問い詰めたい気持ちを我慢して、荒垣は続けた。
「そういや、アキが絶賛してたな。スィートポテト」
「そうそう!びっくりだったんですよ。
海牛専門だと信じてた真田先輩が、あんなに喜ぶとは思いませんでした。
まぁ、肉の変わりになるようにって、カロリーを上げるためにバター一箱使ってますけどね!」
それは既にスィートポテトと言わないのではないだろうか。
そんな思いと、ほんの少し(と思いたい)嫉妬は心の奥にそっとしまい込み、気づかない振りをして荒垣は続ける。
「このトリュフチョコって、去年のバレンタイン騒動とやらのアレか?」
「そうそう!よく知ってましたね!先輩。
いいお酒使った方が美味しいっていうから、美鶴先輩にもらった洋酒使ったんです。
で、もったいないからって余った分味見してたら・・・・えへ(照)」
「えへっ」、と可愛らしく顔を赤らめているものの、顛末を聞いている荒垣にはなんとも言いがたい汗が背筋を伝った。
その武勇伝と言えばいいのか、伝説と言えばいいのか・・・とにもかくにも、彼女に酒を飲ませてはいけないと心に誓う。
「フェルトって、まさかあの山岸が持ってたやつじゃねぇよな?」
「そうそう!あれですよ♪
あ、でもクリスマスだし、色は赤と緑にしましょうか?折角だしリボンももっと豪華・・むぐうぐ」
透流の口を塞ぎつつ、これ以上あの「実に可愛らしい」品物が透流の中でデコレートされていくのを止めると、頭を振りつつ、次の品に話題を移す。
「わ、和布ストラップってあれか?桐条が携帯につけてた。」
「そうそう!美鶴先輩にあげたやつです。
本物の西陣織でできてるんですよ。修学旅行で体験で作ってきたんです。
えっと、今在庫がないから・・・うん、機織り機から作れば無問題です♪」
にっこり笑う透流に、荒垣は「機織り機」を作るのは無問題で済むことなのかと感じたが、あまりに晴れやかな笑顔に何も言わずに次の星印に視線を移した。
「うさぎのあみぐるみ・・・・来年がウサギ年か」
「そうそう!そうでした!
タイムリーですねぇ♪ あ、何気にこれも真田先輩のお気に入りでした。
ボクシンググローブしてるんですよ?可愛いでしょう(笑)。おそろいにしましょうか?」
何故ウサギにボクシンググローブなのかとか、そもそもクリスマスのプレゼントが親友(くされ縁)とお揃いになるとかどうなんだとか・・・色々突っ込みたい所だらけなのだが、そこに突っ込んでも危険な香りと切なさしかない気がして、最後の一つを口にした。
「手編みのマフラーか。
去年作ってたよな。
・・・・
誰かに、やったのか?」
「そうそう!去年作って!
つくっ・・・
・・・・」
さっきまでの打てば響くような受け答えが嘘のように、透流の声が、纏った空気が途端に重苦しいものへと変わった。
去年の9月。まだ冬になるには早いと思われる季節ではあったが、確かに透流は時間がある時にはラウンジでマウラーを編んでいた。
自分のためのものなのか、それとも誰かにやるために編んでいるのか、透流が嬉しそうに、幸せそうに編み針を動かす姿を見つける度にそんなことが気になった。
しかし、それを口に出して聞く事はできなかった。
当たり前だ、自分の命が今こうして繋がっていて、こんなにも穏やかな、いや、言ってしまえば手にする資格さえないと思っていた「幸福」という時の中にいることなど、当時の自分は想像もしていなかったのだから。
ゆっくりと肺に空気を吸い込むと、荒垣はけして大きくは無い、しかし一言一言を確かめるように言葉をつむいだ。
「自惚れても、いいか?」
「も、もう古いですよ。新しく作りますから!」
「俺ァ、去年のがいい」
「・・・・」
うつむいたまま、小さな頭が縦にこくりと一度下がる。
そんな透流の姿に荒垣は目を細めるとそっと抱き寄せて唇を落とした。
「/////」
重苦しかった空気が色を帯びるように、透流の耳が真っ赤に染まるのを見届けてから、荒垣は口角をあげた。
「もうひとつ、我が儘言ってもイイか?」
「え?」
思わずきょとんとした瞳で荒垣を見上げてきた透流の身体を、荒垣はひょいと抱えあげた。
「こんな紙っ切れに書かれたもんでなく、俺はこれがいい。
つぅか、これだけで良い。」
今度は耳だけでなく、顔まで真っ赤に染め上げた透流の耳元に囁くと、荒垣は喉の奥で低く笑った。
―今年のクリスマスは、楽しみになりそうだ―
∞――――――――――――――――――――――――∞
うちの透流さんは、本当にギャグだと色々とがっかり仕様ですね。
てか、これを人様の家の「ハム子」さんとして送る私も大概ですね。
あぁぁ、すみません、すみません。
本編は・もう少し・・・まとも・・・な、はず?
逃げよう(脱兎