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ここは、「Luftleitbahnen」の別館です。
Fan Fiction Novel-二次創作小説-を置いてあります。
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捏造IF話。と言っても幸せラブラブとは正反対です。
むしろ、暗いし、救いも何もありません。
てかぶっちゃけ、ガキさん死亡です。
さらに特殊設定アリです。それでもいいと言う方だけ読んでください。
(なんで書いたか・・・・正直わかりません・・・そのうち消すかも。う~ん)

※特殊設定は畳んだ先に書いておきます。

※読む前の前提。
主人公は2周目で、1周目の記憶アリ状態と思って下さい。
かつ、1周目のEDでガキさんが目を覚ました話を聞いていないと言う前提です。

再度いいますが、激しく暗いし、救い無しです。
テイストで言えば「ひぐらしの鳴く頃に」と思って下さい。
それでも本当に良い方はお読みください。

∞――――――――――――――――――――――――∞



どこで間違えたんだろう


何を間違えたんだろう



ただ、アナタを助けたかっただけなのに



∞―――――――――∞ 狂喜   ∞―――――――――∞




カシャン


乾いた音を立てて、古びた懐中時計が透流の手から滑り落ちる。


目の前に広がる光景に、言葉もなくただ立ち尽くす。
否、言葉はあった。
むしろ煩いほどに、世界の全てを覆わんばかりに彼女の中で喚いている。


嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ


耳鳴りがするほどのその心の悲鳴の中、あの人の声が静かに響いた。


『これで・・・いい・・・』














-11月3日-


ムーンライトブリッジ南端


「こんなことが・・・・」

タカヤの口から、敗北を告げる言葉が漏れると、透流は構えていた召喚器を静かに下ろした。
もはや、彼らの存在など透流にはどうでもよかった。
そのまま、視線を宙に浮く最後のシャドウへと移す。

(12体目・・・最後の、シャドウ・・・)


まるで磔にされた聖人のように、中空に浮かぶその姿に透流は苦笑を浮かべる。
あれを地に叩き落とし、屠らねばならないのだ。

(どっちが悪者なんだろう)

そう思うと、なんだか可笑しくなる。
正義のため、そんな大義名分を掲げてきたつもりは、正直ない。
ただ、大切な仲間達を守りたくて、一緒に居たくて、そんな理由で戦ってきた。
そう、言ってしまえば、これは自分のための戦い、そう思ってきた。
それなのに・・・・

『だめだ・・・よ・・・』

頭の中に"彼"の悲しそうな声が響く。
その声に、透流は笑う。
もう遅いのだ、何もかも。



そう、守りたくて、今度こそ守れるはずだと思って・・・



一体どこで間違えたのだろう。

何がいけなかったのだろう。


透流はその手を腰のホルスターに伸ばし、吊り下げられた物を握り締める。
冷たく固いソレは、あの時止まってしまった古びた懐中時計。
ギュッとその手に力を込めれば、また動き出してくれるのではないかと、どこかで期待しているのかもしれない。
例え、動き出したとしても、あの人は戻ってこないのに・・・



ドボン


遠くで、水音がした。
振り返れば、皆が橋の欄干から下を覗き込んでいた。
順平の悲痛な呟きと、真田の静かな声音が響く。

ストレガの二人が落ちたのだと、ようやく透流は思い出す。


「・・・透流?・・・大丈夫?」

いつのまに隣に来ていたのか、ゆかりが心配そうな顔を透流に向けていた。
透流は彼女ににこりと微笑むと、大丈夫と返し、再び上空を見上げ、視線の先の聖者モドキを睨みすえる。

(そう、大丈夫・・・もうアレで最後だから)

ゆかりにというよりは、自分に言い聞かせるように呟いて、透流は薙刀を握る手に力を込める。
その時、美鶴の凛とした声が響いた。

最後の戦いという名の幕が切って落とされた。



岳羽ゆかりは、そんな透流の姿を不安と共に見つめていた。
一ヶ月前のあの日、彼女の悲鳴を初めて聞いたあの時からずっと・・・

あの夜、泣き崩れ、荒垣に縋りつく真田と天田の姿を見つめて呆然としていた彼女。
事切れた瞬間、大気を引き裂いた彼女の悲鳴。
その悲痛なまでの叫びが、姿が、ゆかりの脳裏に焼き付いて放れない。
それなのに・・・次の日には彼女は何もなかったように平然としていた。

一方、真田や天田の感情は、そのまま行動になって伝わってきていた。
特に、真田の切り替えは驚くほど早く、正直どうすればあんな風に割り切れるのかとさえ思わずに居られなかった。
それでも、真田が深い悲しみと嘆きをその身に抱いたことはわかっていたし、天田も同様だった。
小学生が負うには、あまりに辛い現実。
だが、彼らは確かに悲しみと共に前へ進んだのだ。
ゆかりはそれを見て、感じていた。

しかし、透流は別だった。
あの日から、透流は何も変わらなかった。
塞ぎこむ事も、泣く事もなく、いつものように学校に行き、部活をし、笑い、怒り、戦う。
何も変わらない毎日。
そう、何も変わらないのだ。

そこまで親しくなかったから?・・・違う!そうじゃない!!
むしろその逆だとゆかりは思っていた。
荒垣が復帰してからの彼女は、見ていて分かるほど彼に好意を寄せていた。
何度か、それをネタに突っ込んだ事もある。
そうすれば、彼女は照れながらもそれはそれは幸せそうに笑ったのを覚えている。
そんな彼女が、である。
最初は、他のみんなが落ち込んでいるからこその空元気なのかもしれないと思った。
だけど、何かがおかしかった。日を追う毎にその疑問が積み重なるのに、その"何か"がゆかりには分からなかった。

そして今日を迎えた。
橋のたもとでストレガの二人が立ちはだかった時、ゆかりは透流が彼らを殺してしまうんじゃないかと恐怖した。
彼女のペルソナの力は、自分達とは比較にならない。
もしもの時は、身体を張ってでも彼女を止めようと思っていた。
しかし、彼女は荒垣の仇とも言える彼らを全く意に介さず、ただ淡々と彼らをねじふせると、じっと上空のシャドウを見つめていた。タカヤの声もジンの声も、彼女にはまるで聞こえて居ないようだった。

・・・最後のシャドウだから?

アイツを倒せば、この不幸の連鎖が途切れる。確かにそうかもしれない。
でも、彼女はそこまで思って戦ってきたの?当事者でもない、巻き込まれただけのはずなのに。
たまらず、不安が口をついて出れば、透流は大丈夫と笑って、件のシャドウをキッと睨んだ。

・・・もうアレで最後だから

そう静かな決意を秘めた呟きに、ゆかりもまた何も言えずに上空を見上げた。
確かに、今はアレを倒す事だけを考えるべきなのかもしれないと。






「真田先輩、右の石像に止めを! 天田君は左の石像を。ゆかりは全体魔法でお願い。」

3体の石像相手に、透流の指示が飛ぶ。
風花のサーチを待つ必要など、もはや透流にはなかった。
構えていた薙刀を逆手に、止めの為のペルソナを呼び出し気力を溜める。

「コンセントレイト」

静かな呟きと共に、堕天する前の熾天使の姿が浮かび上がり、内から巻き起こる力の力場が風を起こす。

シャラン

不意に、腰につけた懐中時計が鎖と絡み、澄んだ音を立てた。
その戦いとは無縁にも思える音色は、哀しく透流の心を揺らした。

(・・・先輩・・・)






静かな月光に染まった夜だった。
荒垣は始終穏やかで、どこまでも深い悲しみと、優しさに満ちた笑顔を浮かべていた。


「・・・後を、頼むな」

悲壮なまでの決意を宿した瞳で、荒垣がポツリポツリと言葉を紡ぐ。
その言葉の一つ一つが、深く透流の心に突き刺さっていった。



時は巡り、透流は迷った
あの夜、時計を返した事が、長鳴神社へ行った事が、荒垣の最後の決断を後押ししたのではないか。
透流の存在が、荒垣を追い詰めたのではないか・・・そう思わずにはいられなかったからだ。
また透流が近付けば、この懐中時計を返してしまえば、荒垣は再び傷つき倒れてしまうかもしれない。
癒える事の無い傷を抱き続け、今も苦しんでいる荒垣を、あの優しい人を、これ以上傷つかせたくなかった。


近寄るべきでは無い。そう、思った・・・・


しかし、一旦出逢ってしまえば、その心に触れてしまえば、近付きたいと思う心を止める事が出来なかった。
以前は気がつかなかった、見えなかった事が、近付けば近付くほど透流の心を揺さぶった。
言葉の端々に滲む"仲間"への、"自分"への想い。
自惚れかもしれないと想いながら、それでも気づいてしまった心は押さえる術がない。
だから、あの日まで、同じ日を繰り返した。
あの最後の一押しさえしなければ、そう思って。

黒沢から手に入れた懐中時計をその胸に抱き、透流は10月4日を迎えた。
この日さえ過ぎれば、この運命の日さえ過ぎ去ったら、その時に返すのだと心に刻んで。



・・・・そして、時計は動きを止めた・・・・永遠に・・・・・





「ゆかり!今!!」
「マハガルーラ」

透流の声に、ゆかりの魔法が迸る。
なぎ倒された石像の上に、哀れな聖者が堕ちてくる。

「総攻撃を!!」

各々が獲物を手に、地を這う影を容赦なく嬲る。
その姿に、透流は笑んだ。

『・・・透流!・・』

"彼"の慟哭が耳の奥に響く。
透流は、その声にただ一言を返していた。


「明けの明星」









「終わった・・・のか?」

順平の声が聞こえたのは、どの位経ってからだろう。
皆が一様に呆然とした表情で周囲を見回している。
無理も無い事だと透流は思う。

「作戦終了と言いますか、
"任務完了"でありますね。」

何も思い出さないまま、アイギスが笑う。

「ああ・・・
終わったな・・・」

美鶴の声が、静かに響く。
そう、終わったのだ。彼らは何も知らないまま。

「透流さん。
こういう場合、現場リーダーの
"とっさの一言"が、必要かと思います。

"勝利宣言"をお願いするであります。」

その可愛らしいアイギスの言葉に、透流は微笑んだ。
無言のまま、静かに皆を見つめて。

「・・透流?そこは何か言わないと・・さ?」

ゆかりの困ったような言葉に、そうだったねと頷く。

「ごめんね・・・・つい嬉しくて。
やっとこの世界が終わるかと思って。」
「この世界?あぁ、影時間ってことね。
そうだねぇ・・・案外感慨深いよねぇ」

今までの事を思い出しているのだろう、しみじみと呟くゆかりに皆も同意したように首を縦に振ったり、何事かを口にしている。
その様子に、コロコロと透流が笑った。

「ふふ、みんな何言ってるんだか。
終わるのは影時間じゃないよ。

・・・・この世界そのものだよ」

その何気ないように言い放った言葉に、皆の視線が透流に集まった。
それでも、透流は笑ったまま。笑ったまま、その手を静かに中空に差し伸べる。

「来て・・・」

差し伸べられた手の先に、淡く光る彼女の半身が浮き上がった。
驚愕に目を見開く皆の前に浮かび上がったそれは、彼らもよく知っていた。
最初期に彼女の内から現れた暴君。オルフェウスを食い破り現れた、死神を表すペルソナ。

『・・・透流・・・ごめんよ・・・』

彼女の手の先で、その死神の姿と少年の姿、子供の姿が滲み、溶けあい、明滅を繰り返す。
その異様さに、誰もが口を挟めないまま、ただ呆然と見つめていた。


「おかえり、綾時」

懐かしそうな、嬉しそうな顔で、透流は"綾時"と呼んだ己の半身を見つめている。
その時、ゆかりは気がついた。
透流が召喚器を使わなかった事に・・・・

『・・・・許しておくれ、透流・・・
壊れていく君を、止めることが出来なかった僕を』

悲哀に満ちた声が、"綾時"から響く。
その言葉の意味に、誰もがまさかと頭を振る。
どこかでは感じていた、しかし、誰もが自分に精一杯で否定していた答え。
それを認めたくなくて、ただ無為に過ぎた時間を反芻したその時だ。

「・・・だ・・ダメです!!ダメでアリマス!!」

唐突な叫びと共に、アイギスがその手を"綾時"に向けた。
実弾の込められたその腕を、ためらい無く構える。

「・・邪魔しないでね、アイギス(ブレイブザッパー)」

しかし、そのアイギスを透流の一言が事も無げに吹き飛ばしていた。
誰かの悲鳴が木霊する。
透流は地に臥したアイギスを哀しそうに見下ろした。

「もう、無駄なの。何もかも。・・・だから大人しくしててね?」

そう言ってゆっくりと視線を巡らし、ね?とばかりに皆に笑う。
いつもの彼女と何一つ変わらないまま。


『・・・透流!・・・』

"綾時"の悲痛な叫びが、明けぬ影時間に溶けて揺れる。
その声に、透流は振り向くと抱きしめるように両の手を伸ばす。

「終わらせるの。貴方の変わりに私が・・・」

『・・・透流・・・・・・わかったよ。

君を救えなかった変わりに、僕をあげる。
君も僕と同じ、ニュクスの子だから』

透流の腕に抱かれながら、"綾時"が光と闇の粒子に形を変えて取り込まれていく。
美しすぎたが故か、本能だったが故か、その光景を、誰も何も言えずに立ち尽くしたまま見つめていた。
ただ、誰もが分かってしまっていた、もう取り返しのつかない所に居るのだと。

最後のカケラが消え逝く刹那、微笑む彼女の瞳から、初めて涙が一筋流れた。
それは、"綾時"の流した涙。

『ごめんよ・・僕の・・・大事な・・透流』




全員の視線の先で、振り向いた彼女が笑う。
その晴れやかな笑顔の上で、月が怪しく輝いた。



「また、すぐ会えるから・・・・ね」

そう言った彼女の腰で止まったままの懐中時計が静かに揺れた。







∞――――――――――――――――――――――――∞



どこで間違えたんだろう


何を間違えたんだろう



ただ、アナタを助けたかっただけなのに


アナタノ イナイ セカイナラ イラナイ








∞――――――――――――――――――――――――∞

・・・そんな夢を見たんですよ。

そう笑って、引き上げたシーツごと身体を背後に預ければ、
がっしりとしていながら、しなやかな弾力をもった温もりがそれを受け止めてくれる。


・・・もう居なくなったりしないで下さいね。


囁くように呟いた言葉が、夜の闇に溶けて消える。
抱きしめてくれる腕を確かめたくて、猫のように顔を擦り付ければ、
もう片方の手が優しく頭を撫でてくれた。


もう、失うのは嫌。
ずっと傍で、アナタを守るから。

だから、今だけ・・・




アナタニ狂ウ 喜ビヲ下サイ



∞――――――――――――――――――――――――∞
ムシャクシャしてやった!!嘘です、すみません。
でも、書きたかったの。
200周位すれば、一回位こんなEDあってもいいんじゃないかと。
だってバッドエンドでも引継ぎ2周目できるしね!!
はい、すみません。反省します。
いいんです。
いやいや、アリですよ。
だって…好きなんだもん。どうしようもなく。
ガキさん救えないんだ…って辛かったもんなぁ…。
acqua 2010/02/17(Wed)13:16:39 編集
Re:いいんです。
こんなんでアリと言っていただけると・・・・(涙)
でもペルシリーズの主人公は、みんな紙一重で危ういと思ってます。
だから、ありかなぁって。
てか、ガキさんどうしたって最後まで一緒に居れ無いのは辛すぎです><
うわぁぁぁぁぁん。・゜・(ノД`)・゜・。 
【2010/02/18 00:43】
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